RPC INCRES

時価総額
$11.6億
PER
油田向けの専門オイルフィールドサービスの有力企業。圧力ポンピング、ダウンホールツール、コイルチュービング、セメンティング、レンタル工具、パイプ検査を展開。2023年7月の買収でセメンティング強化。米国内の南西・中部・メキシコ湾沿岸・ロッキー・アパラチア各盆地中心に展開。

事業内容

RPC, Inc.は、主に米国を中心に石油・天然ガスの掘削・生産現場向けに幅広い油層サービスと関連機材を提供しています。同社は高圧の井戸作業(圧裂など)やセメント封入、コイルチュービング、井内工具やワイヤラインによる作業といった現場サービスに強みを持ち、機材のレンタルや配管検査、保管、訓練といったサポート業務も行っています。

主要顧客は大手や独立の生産会社で、規模の大きな顧客とは専用体制で安定的に取引する一方、小規模顧客はスポット的に需要が変動し価格志向が強いのが特徴です。同社の収益は作業日数や機材稼働率、使用資材に左右され、受注から提供までのリードタイムが短いため大きな受注残はなく、特定の顧客が売上の相当割合を占める場合もあります。

事業は大きく「テクニカルサービス(現場で機材と人員を稼働させる)」と「サポートサービス(現場外で機材や訓練を提供する)」に分かれます。テクニカルは資本と人手を多く要する圧裂・セメント・コイルチュービング・下部工具が中心で、サポートはレンタル工具やパイプ検査・保管、産業向け訓練などを含みます。近年は機材効率の改善で供給過剰と価格競争が進んでおり、特に主要生産地での競争動向と資本配分が同社の経営課題になっています。

経営方針

同社は長期的な株主価値の創出を目指しています。成長戦略の中核は、有機的投資と選別した買収(M&A)による規模拡大と事業の多様化で、収益性とキャッシュフローの改善を重視しています。経営はEBITDAや調整後EBITDA、フリー・キャッシュフローを主要な業績指標として監視しており、2025年の資本支出は主に既存装備の維持・効率化を目的に1億5,000万〜2億ドルを見込んでいます。加えて、取締役会は四半期配当の継続方針を示しており、2025年3月支払分として1株あたり0.04ドルの配当を宣言しています。

重点投資分野として、同社は主に圧力注入(プレッシャー・ポンピング)フリートの維持更新と低排出・高効率化への転換を進めています。具体的には老朽フリートの退役に対応するための資本配分や、電動フリートへの投資検討、業界が求める低排出でデュアル燃料対応(Tier 4相当)機器への段階的な更新を掲げています。競争優位は価格だけでなく、装備の供給力と品質、サービスの安全性および技術力に置いており、特許は追求しつつも主に人材の専門知識で差別化する方針です。

新市場開拓と事業拡大では、同社はM&Aを成長エンジンの一つと位置づけ、特に小規模な探査・生産(E&P)や油田サービス市場での取引機会を重視しています。実際に2023年7月のSpinnaker買収によりセメンティング事業をパーミアンやミッドコンチネント地域まで拡大し、サービスラインの補完と顧客基盤の拡大を図りました。今後も地域別の掘削・完了活動や石油・天然ガス価格、資本市場動向を継続的に監視し、スポット需要が強いパーミアンなど主要盆地での貢献を高める計画です。

技術革新への取り組みでは、同社は現場作業の効率化と安全性向上を目的とした技術・プロセス投資に注力しています。現場での人員を減らす自動化や遠隔化、下部工具(ダウンホールツール)領域での製品開発を成長機会とみなし、ERPの段階的導入による業務基盤強化や、サイバーセキュリティ対策、従業員向けのセキュリティ教育・模擬訓練も実施しています。これらの取り組みで効率を高めつつ、安全性と顧客満足を両立させることを目指しています。