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Remitly Global, Inc.RELY
事業内容
Remitly Global, Inc.は、移民や出稼ぎ労働者が家族や知人へ海外送金を行うためのデジタル送金サービスを主力にしています。同社はスマートフォンアプリやウェブを通じて送金を迅速に実行できる仕組みを運営し、受取は銀行振込や携帯ウォレット、現金受取など多様な方法を世界各地で提供しています。
主要な顧客は海外に住む個人送金の利用者で、同社の収益は主に送金手数料と為替マージン(為替差益)に依存しています。加えて、年末のクリスマスや旧正月、ラマダン等の祝日には送金が増えやすく、四半期ごとの業績に季節変動が出る点も収益構造の特徴です。
事業は単なる送金仲介にとどまらず、取引を処理する基幹システム、顧客向けの携帯アプリ・ウェブ画面、広範な支払・受取ネットワーク、本人確認や不正防止のための技術投資、顧客獲得の仕組みなど複数の機能で構成されています。これらを使って同社は送金の利便性と安全性を高め、各国の事情に合わせたローカライズを進めながら新規顧客の獲得と既存顧客の利用促進に取り組んでいます。
経営方針
同社はデジタル送金事業の拡大を通じて持続的な成長と収益改善を目指しています。既に5,100を超える送金コリドーと170か国以上への受取ネットワークを有しており、2021年の上場で約3.05億ドルの純収入を得て以降、時価総額は2024年6月30日時点で約17.7億ドルに達しています。事業規模の拡大により取引単価や送金量のレバレッジを効かせることで顧客獲得コストの低下と取引利益率の改善を図る戦略をとっており、今後は追加で「数千」のコリドー拡大を目標に掲げています。
重点投資分野は顧客体験、マーケティング、リスク管理と決済・送金ネットワークの強化です。同社はワンクリックで送金を完了できるモバイル・ウェブ体験を追求しつつ、地域ごとに最適化したユーザージャーニーや価格最適化の導入で差別化を図っています。マーケティングでは検索最適化やAI補助のコンテンツ生成、チャネルミックス最適化で「ハイパーローカライズ」された顧客獲得を目指し、技術とデータで顧客維持と単価改善を両立させる方針です。
新市場開拓と事業拡大では、既存の送金顧客向けに隣接領域の金融サービスを提供して顧客関係を深めることを目指しています。地理的には直接連携する支払先や支払方法を増やして受取可能なコリドーを拡大し、買収も選択肢として活用しています。実例としては2023年に約7,790万ドルで買収したRewireの統合で、開発済み技術(評価約1,200万ドル)や顧客基盤(約850万ドル)を取り込み、2024年4月には約1,030万ドルの現金と株式で最終的な調整を完了しています。
技術革新には継続的な投資を行っており、同社は機能開発やインフラ整備に資本投入することで長期的な成長を狙っています。具体的には中核のトランザクションエンジンと価格設定エンジン、リアルタイムの本人確認や機械学習ベースの不正検知、支払・送金の直接連携を強化しており、社内で資産計上された内部利用ソフトウェアは2024年末で約3,962万ドルに達しています。短期的には開発投資が利益を圧迫する可能性を認識しつつも、信頼性の高い決済・不正対策と優れた顧客体験で差別化を図ることを目指しています。