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RADIUS RECYCLING, INC.RDUS
事業内容
RADIUS RECYCLING, INC.は鉄と非鉄のスクラップ回収・加工を中核に、製鋼と中古自動車部品の小売まで手がける総合リサイクル企業です。同社は大型シュレッダーで金属を分別し、電気炉を備えた製鋼所で長尺鋼材を生産するとともに、自社のセルフサービス型中古部品店を運営しています。さらに非鉄回収技術の置換・増設を進めており、アルミ・銅の回収能力向上に向けて約1.4億ドルの投資を行い、主要システムの大半を稼働させています。
同社の主要顧客は大手小売業者、産業メーカー、機械メーカー、廃車や用途終了の車両所有者など多岐にわたり、回収した金属の販売とスクラップ仲介、解体、逆物流や認証破壊などのサービスで収益を得ています。サービス契約による収入は、加工した金属の現物売上に比べて市場価格の変動に影響されにくい収益源となっています。非鉄製品はコンテナで海外へも輸出しており、2024年はインド、マレーシア、中国への輸出が大半を占めました。
事業は大きく金属リサイクル、リサイクル関連サービス、製鋼の三本柱に分かれます。鉄スクラップは溶鋼原料として分類・供給し、非鉄ではアルミや銅、ステンレス、ニッケル、真鍮などを加工販売し、触媒コンバーターは貴金属回収業者へ販売しています。製鋼では半製品のビレットを作り再加熱して熱間圧延し、鉄筋や線材、棒鋼類などの完成品を出荷し、深水ターミナルや陸運網を活用して国内外へ配送しています。
経営方針
同社は統合型リサイクルプラットフォームを軸に、収益の安定化と株主還元の両立を目指しています。製鋼部門は電気炉(EAF)と連続鋳造設備を備え、現状で年換算約58万トンの製品能力を有しており、完成品や半製品の供給で地域的優位性を確保しています。直近の事業実績では2024年度の製鋼収益が約4.40億ドル、完成品販売量は約50.9万短トンで、同社は配当継続(122四半期連続)と追加の自己株買い枠(2022年承認で上限+300万株、2024年8月時点で約280万株枠あり)を資本政策の柱としています。
同社の差別化は非鉄金属の高回収・高品質化への重点投資にあります。非鉄回収技術刷新プログラムとして総額約1.4億ドルを見込む大型投資を実行中で、主要シュレッダ設備向けの13システム(うちアルミ系3、銅系4、海岸別の分離システム等を含む)を導入し、2024年度末時点で11システムが稼働または立ち上げ段階、許可待ちの2システムは2025年度中に完全稼働を目標としています。これにより炉に投入可能な「ファーナスレディ」製品の割合を高め、埋立処分となる破砕残渣を削減することで収益性と環境効率を同時に改善しようとしています。加えて、太平洋沿岸の自社深水港や主要輸送網の活用で輸出入コストと積み遅れリスクを低減している点も競争力です。
事業拡大は買収とサービス領域の拡充で進めています。近年は2021年のColumbus Recycling買収(約1.17億ドル)、2022年のEncore関連買収(約6,400万ドル)、2022年11月のScrapSource取得(約2,500万ドル)といった案件で地理的展開とリサイクルサービス(スクラップ仲介、逆物流、認証破棄、機械リース等)を強化し、これらを「3PR」ブランドのもとで統合しています。スクラップ販売は市場価格に左右されやすい一方、同社が育成するリサイクルサービスや仲介業務は価格変動に比較的鈍感な契約収入源となるため、ポートフォリオ全体のボラティリティ低減が狙いです。非鉄の輸出依存も高く、2024年度はインド、マレーシア、中国向けで非鉄輸出の約71%を占めているため、顧客分散や付加価値品の育成が今後の成長テーマです。
技術革新面では、破砕工程から非鉄分離・回収までの設備更新と情報システム投資を両輪にしています。非鉄回収システムの建設・試運転は2021年度から本格化し、総投資見込み約1.4億ドルのうち約1.35億ドルは既に支出済みで、2024年度は約500万ドルを投下しました。自社の小売型中古部品店やスクラップ事業は中央管理のIT基盤で在庫回転や顧客利便性を高めており、加えてサイバーセキュリティや生産制御の強化にも取り組んでいます。これらの取り組みは資源回収率の向上と製品品質の均一化を通じて、長期的なマージン改善につながる計画です。