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RADCOM LTDRDCM
事業内容
RADCOM Ltd. は、通信事業者向けにネットワークの可視化とサービス保証、顧客体験の分析を行うソフトウェアと運用サービスを提供しています。主力製品は自動化されたアシュアランスプラットフォーム「RADCOM ACE」で、無線アクセスからコアまでのネットワーク全体を監視し、AIを活用した分析と自動化で問題検知と対応を支援しています。
同社の主要顧客はAT&T、Dish、Rakutenのような大手通信事業者(CSP)で、売上は一部の大口顧客に偏っており、2024会計年度は上位3社で約88%を占めました。収益構造は従来のライセンスや導入サービスに加え、サブスクリプションや長期の保守・運用契約、マネージドサービスへとシフトしています。
事業はソフトウェア製品と付随するサービスに分かれ、製品面ではクラウド対応の5G対応アシュアランスと顧客体験分析、AI/機械学習による自動化機能を重視しています。サービス面では24時間体制のNOC運用、導入支援、地域ごとの技術サポートを提供し、主要なパブリッククラウドやプライベート環境への展開、代理店や販売パートナー経由での流通も行っています。
経営方針
同社は成長戦略として、クラウド上で動作する5G対応のネットワーク可視化・保証ソリューションを軸に売上拡大を目指しています。直近の年間売上は約6100万ドルで、そのうち北米が約3610万ドル(59.1%)を占め、輸出売上は約5410万ドルで全体の約89%を占めています。同社は既存の大手顧客(例:AT&T、Rakuten、Dish)での実績をてこに、新規受注と契約の長期化(サブスクリプションや運用型サービスへの移行)を進め、再現性ある継続収入の比率を高めることで安定成長を図っています。
重点投資分野は研究開発、人材確保、営業・マーケティング、プロフェッショナルサービスとカスタマーサポートの強化です。技術面ではクラウド上でスケールする設計(クラウドネイティブ)と、データ解析や自動化を進めるAI/機械学習の導入に注力しており、現場の24時間監視運用(NOC)にAIベースの自動化を組み込むなど運用効率化も進めています。また人材維持のために2024年に約99万7千件のRSU(譲渡制限付株式)と約11万2千件のストックオプションを付与するなど、開発と運用のコア人材への投資を行っています。
新市場開拓と事業拡大は、主にTier 1の大手通信事業者やグリーンフィールド(新規ネットワークを構築する事業者)を狙う戦略です。同社は北米、欧州、日本を重点地域に据え、パブリック/プライベート両方のクラウド環境(主要クラウド事業者上での展開)での導入実績を活かして新規顧客を獲得し、戦略的パートナーシップやM&Aも活用して適用領域を拡大する計画です。さらに契約形態を多年契約や運用サービスにシフトすることで、顧客あたりのライフタイムバリュー向上を目指しています。
技術革新への取り組みとして、同社は「RADCOM ACE」として知られる自社の自動化プラットフォームを中心に、ネットワークの無線側からコアまで一気通貫で把握できる機能を強化しています。今後は解析と自動化において生成系AI(GenAI)を含む高度なAI機能を組み込み、ソリューションを外部の関連サービスと連携させることで適用範囲を拡大する方針です。同時にサイバーリスクやオープンソース利用に伴う潜在的な法的・運用リスクを踏まえ、インシデント対応計画を含むサイバーセキュリティ管理体制の整備も継続的に行っています。