R1 RCM Inc.RCM

時価総額
$60.4億
PER
1831.7倍
ヘルスケア向け収益サイクル管理(RCM)ソリューションの最大手。機械学習搭載のクラウド型収益インテリジェンスと運用代行を展開。2022年にクラウド型RCM企業を株式と現金で買収、2024年1月に大手医療機関のRCM事業を6.75億ドルで買収。米国中心に事業展開。

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企業概況
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同業種の日本企業
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事業内容

R1 RCM Inc.は、病院やヘルスシステム、診療グループ向けに、診療報酬の回収や請求業務を改善して病院の収益と患者の支払い体験を向上させる収益サイクル管理(RCM)サービスを提供しています。同社は、収益回収を丸ごと引き受けるエンドツーエンド型の運営パートナー契約と、特定工程だけを支援するモジュール型サービスを主力に、独自の技術を活用して業務を実行しています。

顧客は主に米国内の大規模ヘルスシステム、病院、医師グループで、長期的な戦略的提携を重視しています。収益は主に運営契約に基づく純額手数料や成果連動のインセンティブから得ており、モジュール型は成果報酬型か利用量に応じた固定料金で収益化しています。重要顧客としてAscension関連の病院群があり、2023年には同社のサービス収益の約40%を占めました。

事業面は一つの報告セグメントとして運営し、エンドツーエンド型とモジュール型の二本柱で展開しています。製品ラインは大量の患者データを処理するクラウド基盤、入退院や保険確認などを効率化するワークフロー、患者向けの連絡・支払い支援ツール、保険契約に基づく報酬計算や分析レポート機能などからなり、これらを現場スタッフや海外の業務拠点と組み合わせて提供しています。買収によってCloudmedやVisitPay、Acclara等の技術を取り込み、プラットフォームの機能拡充を進めています。

経営方針

同社は買収と自社成長を組み合わせて売上と顧客基盤の拡大を図り、医療機関の純患者収入(NPR)とキャッシュフローを持続的に改善することを目指しています。具体的には、包括的な「エンドツーエンド」型の運営パートナー契約と、必要な領域だけを提供するモジュール型ソリューションの両面で事業を拡大しており、2022年のCloudmed買収(対価総額約$3,281.6百万)や、2024年1月のAcclara買収(現金$675百万+最大12,192,000株のワラント)といった大型M&Aを成長エンジンにしています。株主還元や財務戦略面では、取締役会が最大$500百万の自社株買い枠を承認しており、規模と資本政策の両面で成長を支える体制を整えています。

同社はデータと技術、現場運用力への重点投資で差別化を図っています。医療機関向けにクラウド基盤で年間約5.5億件の患者接触データを処理し、米国上位100の医療機関のうち93施設分の請求・支払いデータを収集している点を強みに、機械学習を用いた不備検出や契約モデルによる支払上限の算出、独自の業務ルールエンジンと約300の専用レポートで顧客ニーズに応えています。また、米国・インド・フィリピンに展開するグローバル・ビジネス・サービス拠点でオペレーションを標準化し、現場経験のあるスタッフと技術の組合せで「発見→優先付け→解決」を速やかに回す運用力を提供しています。

新市場開拓と事業拡大は買収と選択的な自社開発の併用で進めています。訪問支払プラットフォームやスケジューリング系の企業(SCI Solutions、VisitPay)を統合して顧客向けセルフサービスを強化したように、同社は顧客のニーズに応じて「内製化」か「買収」による機能獲得を判断し、今後も成長機会がある分野では追加M&Aを定期的に評価する計画です。資金面ではAcclara買収時にシニアローンや短期借入を組み合わせて資金調達しており、買収と統合によるスケールメリットで既存顧客への提供価値を広げることを目指しています。

技術革新への取り組みでは、クラウド基盤、機械学習、ワークフロー自動化を中心に投資を継続しています。同社はルールエンジンと自動化で例外処理に集中するオペレーションを実現し、インフレや人件費上昇といった外部環境に対応するため技術でコストを相殺する方針です。具体的には請求・支払の最大限の回収額を算出する契約モデリングや、患者向け連絡アプリ、業務センター向けのワークフロー統合などを進化させ、クラウド上で蓄積する大規模データセットを分析して顧客ごとの改善機会を定量化することで、収益改善の持続性を高めることを目指しています。