Ready Capital CorpRC

時価総額
$4億
PER
中小・LMM商業不動産向けのSBA、住宅、建設ローン等の不動産金融の大手。LaaS・LenderAIを活用したローン組成プラットフォームを展開。2024年7月1日にFundingCircleを約4,131万ドルで買収、6月5日にMadisonOneを約3,287万ドルで買収。米国中心に展開。

事業内容

Ready Capital Corporationはマルチストラテジーの不動産金融会社で、LMM(小・中規模商業不動産)ローン、SBAやUSDAといった政府保証の小口貸出、住宅ローンや建設ローン、そして一部でLMM担保の証券化商品などの起源、取得、融資、サービシングを行っている。貸出の元本は概ね最大で約4,000万ドル規模までで、事業者の営業用不動産購入や不動産投資家向けの資金供給を主力としている。

同社の主な顧客は中小企業や不動産投資家、政府保証を利用する借り手で、収益は貸出金利や手数料、ローン保有による利ざやや証券化・売却での利得から成り立っている。配当を通じた株主還元を目標とし、証券化時の金利変動などに備えてヘッジを行いながら資産と負債のコスト差を管理している。

同社の事業セグメントは主にLMM商業不動産貸出、政府保証の小口貸出(SBA・USDA)、および住宅・建設ローン関連に分かれ、起源からサービシングまでの一貫したプラットフォームで収益を上げている。近年はFunding CircleやMadison Oneなどの起点・サービサーを買収してLending-as-a-Serviceや審査支援ツールを取り込み、住宅関連事業は段階的に縮小してLMMと政府保証貸出に経営資源を集中している。

経営方針

同社は株主還元とポートフォリオの拡大を両立させることで安定した配当と長期成長を目指しています。具体的には2025年1月に上限1億5千万ドルの自己株買いプログラムを承認しており、2024年12月には5,843,463株を1株あたり平均7.35ドルで取得するなど、資本効率の改善に取り組んでいます。株式の流通株数は2025年2月末時点で約1億6,315万株、2024年6月末の非関連株主保有時価総額は約13.13億ドルで、これらを踏まえながら配当と資本配分の最適化を進めています。

同社は重点を中小型商業不動産(LMM)ローンと政府保証の小口事業者向けローン(SBAやUSDA)に置く戦略にシフトしており、2023年末にこの方針転換を取締役会が承認しました。融資の個別上限は概ね4,000万ドル程度の案件を中心に組成しており、同社はワンストップでの組成・取得・サービス提供能力を差別化要因としています。外部の運用会社への管理報酬は株主持分に対し年率1.5%(5億ドルまで)と1.0%(超過分)という仕組みで、2024年の管理料は約2,490万ドルでした。インセンティブ報酬は「コア収益が年率8.0%を上回った部分の15%」という明確な目標連動型で、業績と運用者報酬を連動させています。

事業拡大は買収と統合によって加速しています。2024年にオンライン小口貸出プラットフォームのFunding Circleを約4,131万ドルで買収し、取得時点の純資産価値は約7,347万ドルで、簿価との差額として約3,217万ドルのバーゲン購入益が計上されました。また同年6月にUSDA・SBAローンに強いMadison Oneを約3,290万ドルで取得し、業績連動の追加支払いやのれん約1,097万ドルを含む条件となっています。こうした買収により同社は小口事業者向けの起点であるオンライン起点の融資や政府保証ローンの供給網を強化し、住宅ローン関連事業については段階的に資産売却を進めてコア領域へ資本を集中する計画です。

同社は技術革新を投資と統合で具体化しています。Funding Circleのオンライン原資産組成・サービスプラットフォームを自社のLending as a ServiceとLenderAI製品群に統合することで、与信とサービスの自動化を進め、原価低減と稟議の迅速化を図っています。さらに、組成したローンを証券化するまでの期間に発生する金利変動リスクを想定してヘッジを行い、ヘッジの期間は証券化の想定期間に合わせて定期的に再調整するという運用ルールを採っています。これらにより同社は収益性の安定化とスピードある市場対応を両立することを目指しています。