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Roblox CorpRBLX
事業内容
Roblox Corporationは、ユーザーが自ら3Dの体験を作り、遊び、交流できる無料のオンラインプラットフォームを運営しています。 同社は誰でも遊べるクライアントアプリと、開発者向けの制作ツール、そしてそれらを支えるクラウド基盤を一体で提供しており、ゲーム的な要素とソーシャル機能を組み合わせた場を作っています。
同社の主要な顧客は遊ぶ一般ユーザーと、その上でコンテンツを作る開発者・クリエイター群で、利用者の数がその価値を生んでいます。 収益は主に仮想通貨(Robux)やアプリ内アイテムの販売などの課金から得ており、得た収益の一部をクリエイターに還元し、同社は手数料や広告などで収入を得ています。 例えば2024年は平均日次アクティブユーザーが約8,290万人で、課金するユーザーはその中のごく一部に留まっています。
事業の中身は大きく「利用者向けの体験提供」「開発者向けの制作・運営支援」「運用を支えるインフラと安全対策」の三本柱に分かれます。 同社はクリエイター支援や信頼・安全の仕組み、アバターやソーシャル機能の改善に投資しつつ、制作ツールや決済・運営サービスを通じてエコシステム全体の拡大を目指しています。
経営方針
同社は長期的な利用者拡大を成長の中心に据えており、「10億人のユーザーとつながる」というミッションを掲げています。直近の実績では、2024年の平均日間アクティブユーザー(DAU)が約8,290万人である一方、平均日間課金ユーザーは約100万人にとどまっており(平均日間あたりの売上=ABPDAUは$0.14、課金ユーザー1人当たりは$11.48)、まずはDAUの増加と課金転換率の改善で収益基盤を強化することを目指しています。運転資金や投資余力として現金・短長期投資で約40億ドルを保有しており、この資金をもとにユーザー獲得や機能開発、インフラ整備を推進しています。
同社は開発者・クリエイターコミュニティ、信頼・安全(トラスト&セーフティ)、およびインフラを重点投資分野と位置づけています。具体的には、開発ツール「Roblox Studio」や運営インセンティブを強化してクリエイターに還元を高める施策を進め、広告やマーケティング費用も増やしており(2024年の販売・マーケティング費用は約1.74億ドルで前年から19%増加、広告費は約4,540万ドル)。さらに不正対策や音声モデレーションなどの能力を補強するため、Byfron(アンチチート、買収額約960万ドル)やSpeechly(音声認識、約1,010万ドル)、Hamul(コミュニティ連携、約1,930万ドル)などの買収を実行し、他社との差別化を図っています。
同社は新市場と事業拡大にも積極的です。国際展開の強化のために欧州・アジア太平洋などにデータセンターや拠点を拡大し、企業やIPホルダーとの連携でゲーム以外のエンタメ領域や広告収入の拡大も狙っています。プラットフォームポリシーは2024年後半から2025年にかけて子ども向け規制や各国のガイドラインに対応する変更を実施しており、安全基準を満たしつつ新しい年代や地域のユーザー獲得を目指しています。資金・人員面では買収と自社投資を組み合わせ、成長と規模拡大を両立させる計画です。
同社は技術革新を成長の原動力と位置づけ、プラットフォーム基盤の高度化に注力しています。具体的には高精細アバターやより現実的な体験を実現するレンダリング改善、生成・補助ツールとしてのAI導入、クラウド基盤の拡充によるスケーラビリティ向上を推進しています。運用面では信頼性確保のため世界各地にデータセンターを配置しつつ、モデレーションや不正検知の自動化を進めることで、安全性とユーザー体験の両立を図っており、これら技術投資が中長期の収益向上につながることを目指しています。