Ultragenyx Pharmaceutical Inc.RARE

時価総額
$32.5億
PER
希少疾患向け医薬品と遺伝子治療の大手。AAVベースの遺伝子治療やASOを含む臨床パイプラインを展開。2022年7月に同業を9,120万ドルで買収。米国を中心に欧州、アジア太平洋で展開、従業員1,294人(2024年12月31日)。

事業内容

Ultragenyx Pharmaceutical Inc.は、主に遺伝性の希少疾患向けの治療薬の研究開発と商業化を行うバイオ医薬品企業です。同社は遺伝子治療や酵素補充、RNAを標的とする先端的なアプローチを用いて新薬を開発しており、臨床試験中の候補と承認済み製品の両面で事業を推進しています。

同社の顧客は共同開発パートナー、医薬品卸、薬局などで、収益は製品売上に加えライセンス料、マイルストーン収入、ロイヤルティで構成されています。2024年には共同パートナーであるKKCが売上の約49%を占めるなど、パートナー関連収入の比重が大きい点が特徴です。

事業は大きく商業化部門、臨床・前臨床のパイプライン部門、製造・開発のインフラ整備という三つの柱で成り立っています。主な開発候補にはアンジェルマン症候群向けのGTX-102、MPS IIIA向けのUX111、骨疾患向けのsetrusumabなどがあり、買収やライセンス契約を通じてパイプラインと製造能力を拡充しています。

経営方針

同社は希少・超希少の遺伝性疾患に特化することで持続的な成長を目指しています。2024年の売上は約5億602万ドル、同年の純損失は約5億6920万ドルでしたが、経営陣は2027年の黒字化を目標に掲げています。時価総額は2024年6月30日時点で約37億ドル、発行済株式数は2025年2月13日時点で92,501,126株と報告されており、まずは複数の既承認薬の安定収益を基盤に成長の加速を図っています。

同社は重点的に生物薬、小分子、AAVを用いた遺伝子治療、および核酸医薬の四分野に投資しています。既承認薬としてCrysvita、Mepsevii、Dojolvi、Evkeezaの四製品を持ち、研究開発部門には約875人を配置しているため開発力が強みです。差別化策としては、社内にGMP対応の遺伝子治療製造拠点を整備し(GTMF)、外部のCROやコントラクト製造業者と組み合わせて効率的に臨床・生産を進める垂直統合型の体制を構築しています。

新規市場の開拓と事業拡大では、商業体制のグローバル展開を重視しており、米国に加えて欧州、ラテンアメリカ、アジア太平洋での販売・流通網を拡大する計画です。外部とのライセンスや買収も積極的に活用しており、GeneTxの買収に91.2百万ドルを投じてフェーズ3開始で30百万ドルの規制マイルストーンを達成したほか、Mereoには50百万ドルを支払って追加で最大245百万ドルのマイルストーンを負う契約を結んでいます。これらにより製品候補の地域別権利や供給体制を整備しつつ、商業販売の立ち上げを目指しています。

技術革新への取り組みとしては、AAVベクターの改良やアンチセンス核酸(ASO)など次世代の治療法開発に注力しています。例えばAngelman症候群を対象とするASOプログラムGTX-102はフェーズ3に進展し、AAVを使ったUX111や筋ジストロフィー向けのマイクロジストロフィン等、多様なモダリティを並行開発しています。製造面では自社のPinnacle PCLプラットフォームやGTMFを活用してスケーラブルな生産性向上を図り、時間とコストの効率化によって希少疾患患者への迅速な治療提供を実現しようとしています。