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QXO, Inc.QXO
事業内容
QXO, Inc.(QXO)は企業向けの業務ソフトとITサービスを提供するテクノロジーソリューション企業です。同社はSageやAcumaticaなどのERP製品を再販するとともに、導入、設定、保守、研修、ヘルプデスクといった関連サービスを主力としています。
主要顧客は製造、流通、サービス業を中心とした中小〜中堅企業で、金融や保険、年金管理、土地登記など規制の強い業界にもサイバーセキュリティやコンプライアンス支援を提供しています。収益はソフト販売と導入のプロフェッショナルサービスに加え、ホスティングや保守、セキュリティといったサブスクリプション型の継続収入が混在しており、契約更新や追加支援で既存顧客からの売上が伸びる構造です。
同社の事業はERP再販とそれに付随するコンサル・導入支援、マネージドSaaS/アプリケーションホスティング、サイバーセキュリティ、そして自社開発によるERP機能拡張といった領域で構成され、導入から運用まで一貫して支援しています。加えて買収と有機的成長を通じて建材流通分野など新しい市場への展開を強化し、収益基盤の拡大を図っています。
経営方針
QXOは「今後10年で数十億ドルの年間売上」を目標に掲げており、その実現に向けて買収と自社成長(オーガニック)を並行して進めています。同社は2024年にJacobs Private Equity IIらから10億ドルの出資を受けて社名をQXOに変更し、直近の通期売上は5,687万ドル(2023年比4.3%増)、当期純利益は約2,797万ドルとなる基盤を持っています。経営陣は買収で規模を一気に拡大すると同時に、サブスクリプションやホスティングなどの継続収入を伸ばして月間の定常収入(MRR)と顧客あたりの平均売上(ARPU)を高め、利益率の改善を図る方針です。
重点投資分野は企業向け基幹業務ソフト(ERP)の再販とそれに付随する付加価値サービス、そしてマネージド型のクラウド/セキュリティサービスです。同社はSageやAcumaticaなどのERP製品を販売し、導入・運用支援・専門プログラミング・トレーニング・ヘルプデスクを提供することで、単発売上を継続的な契約に変換しています。サイバーセキュリティやアプリケーションホスティングを自社のセキュリティ運用センターで提供する点も差別化要因で、これらのサブスクリプション化により2024年の粗利率は約40.3%へ改善しています。
新市場開拓と事業拡大では、建材流通という8,000億ドル規模の市場を重点領域に据え、買収を通じて足場を築く計画です。具体的には2025年1月にビーコン・ルーフィング・サプライ(Beacon)に対する現金公開買付を発表し、1株当たり124.25ドルの提示価格で全株買収を目指すなど、大型案件を積極的に仕掛けています。こうした大型買収は外部資金(私募やシニア投資)を組み合わせて実行しており、資金調達面でも2024年の私募や転換優先株・ワラントなど資本政策を活用して成長資金を確保しています。
技術革新への取り組みは製品強化と運用サービスの両面で進められています。社内の開発チームがERPの拡張機能を開発するほか、クラウド基盤を用いたアプリケーションホスティングや事業継続、データバックアップ、インシデント対応を含むセキュリティ運用をサービス化しています。経営は人材投資にも重点を置き、2024年には成長戦略を実行するための新しい上級管理職や報酬制度(2024年オムニバス報酬プラン)に多額を投じ、結果として販管費は増加したものの、将来のスケールと定常収入拡大を見据えた先行投資として位置付けています。