QVC Group, Inc.QVCGA

時価総額
$40.4億
PER
テレビとオンラインのコマース事業の最大手。生放送型ホームショッピングとECプラットフォームを展開。2011年のLiberty Media分社化とLMCとのサービス契約が特徴。北米・欧州・アジアで展開。従業員数は約1万8900人(2024年12月31日現在)。

事業内容

QVC Group, Inc.はテレビ放送とデジタルチャネルを通じた直接販売を中核とする小売持株会社です。 同社は自社のホームショッピング番組やウェブサイト、モバイルアプリを使って生活用品やファッション、化粧品などを消費者に直接販売しています。

主要顧客は北米・欧州・アジアの個人消費者で、視聴者や会員が商品を購入することで収益を得ています。 同社の収益構造は主に商品の販売収入が中心で、これに加えて出品手数料や広告収入、配送料や関連サービスの収入が寄与し、季節変動や配送コストの影響を受けやすい特徴があります。

事業は複数のセグメントで運営され、米国のQVC事業、国際事業、Cornerstone Brands(Zulilyなどを含む小売ブランド群)やその他の投資から成ります。 各セグメントはテレビ放送、ウェブ・アプリ、ライブ配信、カタログを活用して生活用品、ファッション、化粧品、宝飾品、家電、子ども向け商品など幅広い商品ラインを扱っています。

経営方針

同社はブランド力を軸に「ライブのソーシャルショッピング企業」への転換を目指しています。社名をQVC Group, Inc.に変更(2025年2月21日付)したのは最大ブランドのQVCを成長の核に据え、デジタルと放送を融合した収益拡大を狙うためです。直近の連結実績では2024年の売上高が約$10,037百万、調整後OIBDAは$1,103百万でしたが、のれんや無形資産の減損計上で営業損失(2024年は約$809百万)を計上しており、同社は収益基盤の回復と収益性改善を同時に進めることを目標としています。

重点投資分野はライブ配信とデジタルプラットフォーム、そして商品調達・物流の強化です。差別化は「オンエアでのキュレーション力」と「限定商品や独自の売り場体験」を軸にし、従来のテレビ販売に加えてソーシャルメディアやライブ機能で顧客接点を拡大します。具体的施策としてはコンテンツ制作やアプリ、サイトの利便性向上、フルフィルメントの効率化に投資しており、ITやサイバーセキュリティ領域はLMC(親会社グループ)とのサービス契約を通じて支援を受ける仕組みで、同契約に基づく費用配分は2024年が10%でした。

新市場の開拓・事業拡大では、まず既存の地域別収益のバランスを改善する計画です。2024年の地域別売上は米国が約$7,638百万と大半を占め、日本が$870百万、ドイツが$785百万、その他が$744百万と続きます。これを踏まえ、同社は米国中心の事業をデジタル化して海外へ波及させる方針で、特にライブ配信型のソーシャルコマースを国際展開の成長エンジンにする計画を掲げています(文書中のWIN戦略等に沿った取り組み)。

技術革新への取り組みでは、ウェブ/アプリの訪問者から購入に結びつける「コンバージョン改善」、データ解析によるパーソナライズ、そして決済や会員サービスの利便性向上を重点に投資しています。設備面でも固定資産合計で約$1,460百万、うちサポート機器が約$884百万と物理的基盤を維持しつつ、減価償却や無形資産の年次レビューを通じて資本配分の見直しを行っています。加えてサイバーセキュリティやITの外部提供体制を活用してリスク管理を強化し、デジタル化と運用効率の両面で競争力を高める方針です。