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QuadQUAD
事業内容
Quad/Graphics, Inc.はマーケティング体験(MX)を軸に、印刷を基盤として広告制作から配布、データ分析まで一貫したサービスを提供しています。MX Solutions Suiteを通じて、カタログや折込、ダイレクトメール、店頭販促などの制作と配送を連携させ、マーケティングの手間を減らし成果を出しやすくしています。
同社は小売、消費財、金融、医療などの大手企業を主要顧客とし、オフライン中心の印刷と関連サービスが収益の大半を占めています。クライアントごとにワークフローを最適化する受託型の契約が多く、制作・製造・物流・計測といった複数の収益源で収入を得ています。
事業は米国の印刷・関連サービス、国際の印刷事業、そしてコーポレート部門に分かれており、米国部門が最も大きな比重を占めています。大規模な製造拠点と自動化設備を活用しつつ、コンテンツ管理プラットフォームやパーソナライズ印刷、メディア最適化や効果測定を行うエージェンシー機能を組み合わせてワンストップで提供しています。
経営方針
同社は「マーケティング体験(MX)企業」への転換を成長戦略の軸に据え、売上成長、EBITDA拡大、フリーキャッシュフロー創出を通じて株主価値向上を目指しています。現在は米国の印刷・関連サービスが全体の約87%、国際が約13%を占めており、まずは既存の大口顧客(小売、消費財、金融、ヘルスケア)に対する総合的なサービス拡充で安定成長を確保するとともに、負債比率を管理して配当・自社株買い余地を維持することを重視しています。具体的には、最大1億ドルの自社株買い枠(残余約7,750万ドル)や、四半期配当0.075ドル(2025年2月12日発表)などを資本配分の選択肢として運用しています。
同社はMX Solutions Suiteを中心に、コンテンツ管理プラットフォーム「ContentX」や出版業務を効率化する「Publishing Solutions」、ダイレクトメールを自動化する「At‑Home Connect」、店舗での購買を支援する「In‑Store Connect」、およびメディア効果測定を担うエージェンシー「Rise」といった製品・サービスに重点投資しています。製造面では約1,596万平方フィート(うち約1,146万平方フィートが自社所有)の大規模施設やインク・紙の調達力を活かし、デジタルプレス、ワイドウェブプレス、自動化機器(自動搬送車やロボットパレタイザー)など設備投資でコスト競争力とスピードを高め、ワンストップ提供で差別化を図っています。
新市場開拓では、デジタルや店内メディアなど非印刷チャネルの拡大と国際事業の最適化を進めています。同社は買収や事業売却によるポートフォリオ調整を公言しており、必要に応じて積極的にM&Aや事業売却で資金・事業構成を入れ替える方針です(欧州事業の一部を保有資産売却対象に分類するなどの動きも見られます)。これにより、現在約13%にとどまる国際比率や非印刷比率を段階的に高め、クライアントの「計画→制作→配信→効果測定」までを横断する提供体制を強化しようとしています。
技術革新への取り組みとして、同社はプロセス自動化と顧客向け技術に継続投資しています。印刷・流通の自動化(AGVやロボット)、デジタル印刷機の導入に加え、ContentXなどのプラットフォームで資産管理やパーソナライズを実現し、メディアミックス分析などのデータ解析で投下資金対効果を可視化しています。またサイバーセキュリティ対策(脆弱性評価、インシデント対応計画、第三者リスク管理、従業員向け教育「Be Cyber Smart」など)を整備し、顧客データとオペレーションの信頼性向上にも注力しています。