QuidelOrtho CorpQDEL

時価総額
$16.5億
PER
体外診断(IVD)とPOC診断の最大手。SofiaやTriageのPOC機器とVirenaのクラウド監視システムを展開。2022年の合併で取引費用4,690万ドル計上。米国・欧州中心に130カ国超で展開。

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企業概況
107文字)
業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

QuidelOrtho Corpは、医療現場で使う迅速診断装置や検査試薬の開発・製造・販売を行う企業です。同社は、病院や診療所で短時間に結果を出せる迅速検査と、より大規模な臨床検査向けの免疫検査製品を中核に事業を展開しています。

主要顧客は病院、臨床検査室、診療所、緊急治療施設や小売クリニック、公共保健機関などで、世界各地に広い販売網を持っています。同社は装置の販売だけでなく、検査ごとに消費される試薬や保守・サービス契約から継続的な収益を得ることで、安定した収益構造を築いています。

事業は大きくポイント・オブ・ケア向け製品、中央ラボ向け製品、デジタルサービスの三領域に分かれます。ポイント・オブ・ケアではSofiaやTriageなどの迅速検査プラットフォーム、中央ラボ向けには大型の免疫検査製品を揃え、デジタルではVirenaや各種ワークフロー支援ツールでデータ管理や運用の効率化を支援しています。同社はアッセイの拡充とサービス体制の強化を通じて、導入済みの装置からの継続収益を拡大しようとしています。

経営方針

同社はポイント・オブ・ケア(現場診断)のリーダーとして、資本コストを上回る持続的な収益性と株主価値の創出を目指しています。近期的には「高付加価値の利益プール」でのシェア拡大、売上成長とキャッシュフロー改善、株主価値に直結する投資配分を優先する方針です。具体的にはプラットフォームとアッセイへの選択的投資や、提携・買収を含む戦略的手段を用いて成長を加速させ、従業員約6,600人、販売・サービスチーム約2,700人、130か国以上の商圏という既存の規模を活用して中長期の収益基盤を強化しています。

同社は差別化の核を機器+サービスの一体提供に置いており、SofiaやTriageといったプラットフォームのアップデートとアッセイ拡充に重点投資しています。特に顧客維持と導入後の価値提供を重視し、約1,100名のサービス要員による保守体制と業務効率化ツールで迅速な現場サポートを行うことで競合と差をつけています。さらに、データ連携や運用支援を通じて顧客の臨床・運用上の成果を高めることを狙い、単なる検査機器の販売ではなく継続的な収益化を目指しています。

新市場開拓と事業ポートフォリオの最適化も戦略の柱です。医療機関の統合が進むなかで、ラボ、病院、診療所をまたいだクロスセル機会を捉え、平均契約期間が5〜7年の機器導入を通じた長期収益を確保する計画です。同時に成長性や収益性が低い事業の選別も行っており、例として米国のドナー検査ポートフォリオの一部(VIPプラットフォームとマイクロプレートアッセイ)からの撤退などで資本を高効率分野へ振り向けています。

技術革新では、既存の設置ベース向けに新アッセイとソフトウェアの投入、ライフサイクル管理の強化、そして外部企業との協業を積極的に進めています。デジタル面では、SofiaやSolanaから自動的に匿名化データを送るクラウド型のVirenaや、遠隔支援のMerged Reality、現場トラブルを支援するAquant AI、消費者向けのQVueアプリなどを導入し、検査結果の即時活用と運用効率の向上を図っています。同社はこれらの技術とサービスを組み合わせることで、現場での意思決定を支援し顧客の導入障壁を下げることを目指しています。