- 米国企業
- QUALCOMM INC
QUALCOMM INCQCOM
ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン
- 企業概況
- (110文字)
- 業績概況
- テーマ
- (4項目)
- ブランド
- (2項目)
- ライバル企業
- (5社)
- 同業種の日本企業
- (2社)
事業内容
QUALCOMM INCはワイヤレス通信技術と半導体を中心に事業を展開する米国の大手企業です。主力はスマートフォンなどの端末向けに高性能で低消費電力のチップセット(例:Snapdragon)を設計・販売するとともに、通信技術に関する特許をライセンスして収益を得ています。
同社の主要な顧客はスマートフォンメーカーや通信事業者をはじめ、自動車メーカーや家電・産業機器のメーカーなど幅広い端末ベンダーです。収益構造はチップ販売による製品収入と、特許使用料やロイヤルティといった知的財産収入の二本立てになっており、両者が利益源になっています。
事業は大きく半導体製品と技術ライセンスの二つのセグメントに分かれます。半導体側ではモバイル、パソコン、車載、ネットワーク機器向けのチップ設計を行い、ライセンス側では5Gや無線通信の基盤技術を他社に供与するとともに、車載のコネクティビティや車内体験、端末で動くAIなどのプラットフォーム開発にも注力しています。
経営方針
同社は成長戦略として、従来の高付加価値スマートフォン向け事業に加え、自動車やモノのインターネット(IoT)、パソコンやエッジ機器などへの事業拡大を目指しています。具体的には、集積回路(チップ)販売と特許などのライセンス収入を両輪にして収益を拡大する方針で、研究開発投資は2024年度に約89億ドルに達しており、当面はこうした投資を継続して技術優位を保とうとしています。加えて資本政策では株式買戻しの新規承認(2024年11月に追加で150億ドルを承認)や配当継続を示しており、財務面では現金・短期有価証券が約133億ドルある一方で負債も存在するため、成長投資と株主還元の両立を図っています。
重点投資分野はオンデバイスの人工知能(AI)、無線通信(第5世代以降)とそれを支える高性能で低消費電力のチップ設計、そして自動車向けのコネクティビティや運転支援分野です。同社は電力効率と個人化を重視したAI機能を端末側で動かすことを差別化要因と位置づけ、最先端のプロセス技術で複数機能を一つにまとめたチップを提供することで他社との差をつけようとしています。これを支えるために世界各地の研究開発拠点と継続的な企業買収・投資を活用しており、過去には自動車ソフト事業の取得(例:Veoneer関連の取引)などで技術や人材を取り込んでいます。
新市場開拓では、自動車向けに「デジタル・チャシス」と呼ぶプラットフォームを通じて接続性、車内体験、運転支援・自動運転機能を提供し、IoT分野では家庭用機器から産業用途、エッジネットワーク機器まで幅広く取り込む計画です。これらを実現するために、製品の試作・試験や生産支援に向けた設備投資を増やす見込みで、2024年度の設備投資は約10億ドルでしたが、成長と多角化を支えるため近接期での増加を見込んでいます。また、長期の特許ライセンス契約の更新や新たな販売チャネルの構築にも注力しており、顧客や地域への依存度を下げることも狙いです。
技術革新への取り組みは中核戦略であり、研究から応用まで幅広く資源を投入しています。同社は10年以上にわたってAI研究に投資しており、生成型を含むコア技術を端末で効率的に動かすことを目指しています。さらに第5世代通信技術の標準化や知的財産の創出・ライセンス提供を継続しながら、電力消費を抑えつつ性能を高めるプロセス技術や集積化設計に注力しています。環境・社会面では2040年の温室効果ガス実質ゼロを掲げており、こうしたESG目標も顧客の要請に応える形で技術や事業運営に組み込もうとしています。