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PYXUS INTERNATIONAL, INC.PYYX
事業内容
PYXUS INTERNATIONAL, INC.は世界中の葉たばこを買い付け、加工してたばこ製品メーカー向けに販売するグローバル商社です。同社は生産農家との契約調達から乾燥・選別・混合などの加工、保管・物流、品質管理まで一貫して手がけています。
主要な顧客はたばこ製品メーカーで、2025年3月期にはPhilip Morris International、China National Tobacco Corporation、Japan Tobacco Internationalがそれぞれ売上の10%以上を占めました。同社の収益は葉たばこ事業が大半を占め、非たばこ系の農産品は各年度で1%未満にとどまります。
事業は主に「Leaf」と「Other Products and Services」の二つのセグメントに分かれ、中心のLeafセグメントでは主要産地に広がる調達ネットワークと加工施設を使って顧客の仕様に合わせた供給を行っています。同社は農家への栽培支援や労働基準・環境配慮の取り組みを通じて持続可能な供給体制とコンプライアンスの確保を重視しています。
経営方針
同社は財務の健全化と成長を両立することを目指しています。具体的には流動性の確保と債務削減を優先課題とし、現金流出を抑えるために採算の取れない事業からの撤退も想定しています。株主還元については取締役会が最大1,000万ドルの自社株買い枠を承認しているものの、債務契約上の制限により当面は最大100万ドル分の買い付けにとどめられており、2024年8月21日に約100万ドルを実行しました。一方で配当は支払っておらず、配当の再開は業績・資金状況次第です。
重点投資分野は原料の安定調達と付加価値サービスの強化です。同社は世界の主要なたばこ生産地域で優位な地位を有しており、生産者との長期的な関係構築に注力しています。具体策としては生産者向けの農業支援や良好な労働慣行の教育、作物資金の提供を行っており、持続可能な農業推進では米国国際開発庁(USAID)との協働で5年間で合計16,600ドルの助成金を受ける枠組みがあります。差別化要素は品質管理とコンプライアンス、そして顧客の仕様に応える加工・物流サービスの一体提供にあります(例:主要顧客としてPhilip Morris、China National Tobacco、Japan Tobacco Internationalがそれぞれ売上の10%以上を占める点からも大口顧客向けサービスを重視しています)。
新市場開拓や事業拡大については、既存のたばこ産地での加工能力や商流サービスを深化させる一方、顧客ニーズの変化(例:スモークフリー製品への移行や関税の影響)に柔軟に対応する計画です。資金調達・流動性改善の手段として、売掛金の証券化(ファクタリングに近い仕組み)を活用し、受取代金の先払いで資金を確保することも行っています。非たばこ作物の売上は現在1%未満にとどまるため、事業拡大は主に付帯サービスと既存市場でのシェア維持・拡大を通じて進める方針です。
技術革新への取り組みでは情報システムとサイバーセキュリティ、ならびにリスクヘッジの高度化を進めています。同社は多層的なセキュリティ体制を採用し、エンドポイント保護、メールスキャン、脆弱性対応、二段階認証(多要素認証)などを実施、外部ベンダーによる年次の侵入テストも行っています。また、年次の年金負担は2025年度で約440万ドル、2026年度は約450万ドルを見込んでおり、年金リスクの低減のために負債に連動した債券中心の運用(いわゆる負債主導運用)を採用してポートフォリオの変動を抑える施策も進めています。従業員数は約3,100人で、データ活用や現場支援を通じて生産性とサステナビリティの向上を図っています。