ProPetro Holding Corp.PUMP

時価総額
$9.7億
PER
油井向け完成サービスの有力企業。フラクチャリング、ワイヤライン、セメント、低排出発電を展開。2024年5月31日にアクアプロップを買収、2023年12月1日にパーファイブを2,540万ドルで買収、2022年11月1日にシルバーティップを株式で買収。パーミアン盆地中心に展開。

事業内容

ProPetro Holding Corp.は、米国の主要産油地帯であるペルミアン盆地を中心に、油井の完成工程に関わるエネルギーサービスを提供する会社です。同社は圧力をかけて岩盤を破砕するハイドロフラクチャリングを主力とし、ワイヤラインによる穿孔やセメント注入といった完成作業に必要なサービスを提供しています。

同社の顧客は主に石油・天然ガスの探鉱・生産(E&P)会社で、売上の大半はフラクチャリング関連が占めます。顧客集中度が高く、2024年は上位5社で約58.8%を占め、XTO(エクソン傘下)やPermian Resources、EOGが主要顧客となっています。季節性や価格競争、顧客による低排出機器の要求が収益に影響しやすい点が特徴です。

事業構成は報告セグメントとしてハイドロフラクチャリング、ワイヤライン、セメンティングがあり、以前のコイルチュービング事業は売却しています。AquaProp、Par Five、Silvertipの買収でウェットサンド供給やデラウェア盆地でのセメンティング、ワイヤライン能力を拡充し、PROPWRという発電サービス子会社も設立して電力提供分野へ展開しています。同社は低排出機器や電動フリートへの転換を進めており、これが今後の競争力と資本支出に直結します。

経営方針

同社はPermian盆地を中核市場として、掘削・完了作業への高い稼働率と収益性の確保を通じて成長を図っています。自己株式買い戻しプログラムの拡大(2024年4月に追加で最大1億ドル、合計2億ドルまで延長)や保有流動性の確保(2024年末時点で現金5040万ドル、ABL枠の利用可能分1.105億ドル、合計約1.609億ドル)により、資本配分とバランスシートの安定化を進め、株主還元と成長投資の両立を目指しています。主要顧客へのサービス提供を強化しつつ、設備の低排出化を進めることで市場シェア拡大を狙っています。

同社は設備とサービスの重点投資により差別化を図っています。低排出型の機器への置換を積極的に進めており、低排出比率は2021年の約10%から2024年に約70%へ上昇、2025年第1四半期末に約75%を目標としています。また、完了サービスの縦断的な提供を強化するため、AquaProp(2024年5月取得、買収対価約3,578万ドル、うち連結時評価されたコンティンジェント金額1,090万ドル)やPar Five(2023年買収、約2,540万ドル)などの買収を通じてウェットサンドやセメンティング、ワイヤラインの機能を統合し、単一ベンダーとしての競争優位を追求しています。

新市場開拓と事業拡大では、電源・発電分野への参入を明確化しています。2024年に設立した子会社PROPWRは油・ガス向けのみならずデータセンター等の非エネルギー用途向けにも発電サービスを提供する計画で、機器発注は完了しているものの本格収益化はこれからです。加えて、XTOとの契約に基づき電動化したフリート(FORCE電動フリート)をコミットしており、今後3年程度で電動フリートの稼働を通じて新たな受注機会と付加価値を創出することを目指しています。AquaProp統合後は同社の資産・売上に対する寄与も生じており(2024年時点で連結総資産の約4.9%、売上の約3.1%を占める)、買収を成長手段として位置づけています。

技術革新への取り組みは、業務効率化と環境対応を両立する方針が中心です。具体的には電動化による燃料・排ガス削減、機器の低排出化比率向上、さらに情報セキュリティ管理体制(ISMS)と外部による年次の侵入テストを含む検査で運用リスクを低減しています。これらの投資は設備更新コストや運用設計の見直しを伴いますが、同社は段階的な設備改修と買収によるサービス統合で長期的な競争力と収益性の向上を目指しています。