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PATTERSON UTI ENERGY INCPTEN
事業内容
PATTERSON UTI ENERGY INC は、石油・天然ガスの探査・生産会社向けに掘削や井戸の完井(ウェルコンプリーション)を中心としたサービスを行う企業です。主力は契約掘削や井戸を生産可能な状態にするための完井作業で、とくに生産向上を目的とした水圧破砕を大きな収益源としています。
同社は主に米国内のE&P(探鉱・生産)企業を顧客としており、一部コロンビアやエクアドルなど選定した海外市場にも展開しています。収益構造は現場での作業契約によるサービス収入が中心で、完井サービスの中でも水圧破砕がセグメント収入の大半を占め、掘削用のドリルビット販売や資機材のレンタル、物流・保管サービスも重要な収入源になっています。
事業は大きく掘削サービス、完井サービス、ドリリング製品の三つのセグメントに分かれています。完井サービス内では水圧破砕に加え、ワイヤラインやポンピング、セメント施工、現場向けの天然ガス燃料供給やプロパント(砂)の最終配送・保管といった統合ソリューションを提供して効率化を図っています。ドリリング製品は専門のドリルビットを北米や30か国以上で製造・販売しており、主要生産盆地での高密度運用を活かして固定費を効率化しています。
経営方針
同社は規模拡大と収益回復を両立させることを成長戦略の中心に据えています。具体的には、2023年のNexTier合併やUlterra買収といった大型取引で完成サービスと掘削製品を強化し、事業の「密度」を高めることで固定費を分散し、稼働率とマージンを引き上げることを目指しています。株主還元の面では、取締役会が2024年2月に自社株買い枠を合計10億ドルに拡大し、同年の買い戻しで約2.8億ドル分(約2,664万株)を取得したほか、2025年3月支払予定の1株当たり0.08ドルの現金配当を実行するなど、資本効率の改善を重視しています(時価総額の目安は2024年6月末で約40億ドル)。同社は収益性の早期回復と株主価値向上を図ることを目指しています。
重点投資分野は完成(Completion)サービス、動力・エネルギー供給、高付加価値の掘削製品で、これらを組み合わせた差別化を図っています。例えば、油層からの生産を高めるために自社のデータ制御機器やワイヤラインを組み合わせる統合型の完井サービスを提供し、プロパン輸送・保管を含む「ラストマイル」物流や天然ガスを燃料とするEm emerald™(100%天然ガス駆動)フリートへの投資で現場の排出量低減と燃料コストの最適化を進めています。これらにより単独のサービス提供では得られない効率性を顧客に提供し、競合と差別化しています。
新市場開拓と事業拡大については、国内の主要バシン(Permian、Marcellus/Utica、Haynesville、Eagle Ford、Bakken/Rockiesなど)での高密度展開を活かして追加の受注拡大を狙うとともに、掘削製品は北米以外にも30か国以上へ販売網を持つ点を活用して国際展開を拡大しています。過去の投資実績ではUlterra買収(約8.9億ドル)やNexTier合併(約28億ドル)で技術・製品群を獲得し、今後も機材の新造・改良や戦略的買収を通じてサービス幅と市場シェアを広げる計画です。同社は設備の自己保有率が高く、現場への迅速な展開で顧客ニーズに応えることを目指しています。
技術革新には設備の低排出化、現場自動化、データ活用、サイバーセキュリティ強化を重点的に組み込んでいます。天然ガス駆動のフラクチャリング機や統合的な電源・処理サービスなど、排出削減に直結する装備投資を進める一方で、掘削自動化や制御システム、データ解析による運用最適化にも資本を配分しています。さらに社内のERPやサイバー対策の強化、ベンダー管理や従業員向け訓練の継続実施を通じて運用リスクを低減し、効率化と安全性を両立させることを同社は目指しています。