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Postal Realty Trust, Inc.PSTL
事業内容
Postal Realty Trust, Inc.は米国内で主に郵便局や最終段階の配送向け不動産を取得・保有・管理する不動産投資信託です。同社は土地と建物を所有し、長期の賃貸契約に基づき単独借主へ施設を貸し出すことで安定した賃料収入を得ています。
主要な顧客は米国郵便公社や宅配業者、物流関連企業が中心で、長期間にわたる単独借り上げの契約が多くを占めます。同社の収益は賃料収入が大部分を占め、空室率や契約更新、賃料改定が業績に直接影響します。
事業は物件の取得・改修・資産管理と賃貸運営に分かれており、取得後はテナント対応や建物の維持管理を行っています。保有物件群は郵便局舎や小規模配送センター、最終配送向けの倉庫など用途別に構成され、売買や組み換えを通じてポートフォリオの最適化と拡大を図っています。
経営方針
同社は安定した配当と資本成長の両立を目指しています。具体的には米国郵政公社(USPS)向けの物件を主力に積極的に買収を進め、2024年は197物件を約9,080万ドルで取得しました(2023年は223物件で約8,006万ドル)。四半期ごとの普通株配当を継続する方針を掲げており、経営判断は取締役会が一任されているため、資本政策や成長ペースは取締役会の裁量で調整されます。なお、2024年6月30日時点の非関連株主持分時価総額は約2.844億ドル、2025年2月26日時点の発行済みClass A普通株は23,556,545株です。
同社はUSPS向け施設への集中投資を差別化戦略の柱としています。これらの物件は長期の賃貸契約を背景に賃料収入の安定化が見込める点を強みとし、取得時は土地・建物・リース関連の無形資産へ購入価格を配分して評価することで収益性を管理しています。資金調達では現金とオペレーティングパートナー(OP)ユニットの組合せを用いる例があり、関連当事者からのポートフォリオ取得も実施してきました。また、環境リスクに備えた保険や賠償条項を設け、テナントの信用力と物件の保全で収益の安定化を図っています。
新規市場開拓と事業拡大は、主に買収による横展開で進める計画です。州ごとに分散した物件を継続的に取り込むことでポートフォリオを拡大しており、将来的には追加の株式発行や優先株設定など資本政策も選択肢として保持しています。ただし、同社の定款には取締役会が公開済み株式や新株を分類・発行できる規定があるため、資本構成の変更やレバレッジの増加が生じる可能性があり、これが配当や信用リスクに影響を与える点は投資家が注視すべき点です。加えて、税務保護契約により一部物件の売却が制約される場合があるため流動性面の制約も留意事項です。
同社は業務のデジタル基盤と情報セキュリティの強化を重要な経営課題と位置づけています。外部の運用型ITサービス業者と連携し、経営陣と資産管理、会計、法務を横断する技術委員会が脅威評価や脆弱性診断、侵入テスト、データ暗号化、事業継続計画を実行しています。これらは監査委員会が四半期ごとに報告を受けるガバナンス体制下にあり、内部統制については経営陣が2024年12月31日現在で有効と評価しています。サイバー保険を含む対策は講じているものの、保険で十分にカバーできないリスクやリモート勤務に伴う脆弱性は依然として監視が必要です。