PARSONS CORPPSN

時価総額
$87.6億
PER
国防・重要インフラ向け統合ソリューションの最大手。AI/機械学習搭載のサイバー防御プラットフォームとPFAS除染技術。2023年8月に1.76億ドル買収、2023年10月に1220万ドル買収を実施。米国連邦政府と国際顧客向けのグローバル展開。

事業内容

PARSONS CORPは、国家安全保障や重要インフラ、環境・都市開発分野に対して設計・エンジニアリングから運用支援までを一体で提供する総合技術サービス会社です。 同社は現場での施工・管理能力とソフトウェアや解析を組み合わせたソリューションで、複雑な安全対策やインフラ整備、環境浄化などを手掛けています。

同社の主要顧客は米国連邦政府(国防省や情報機関など)や州・地方自治体、公共交通やエネルギー事業者、国際クライアントで、政府系契約が収益の中核を占めています。 収益は大型プロジェクトの受注と継続的なサービス契約が混在しており、業績連動のインセンティブや長期の受注残(2024年末で約89億ドル)を重要な経営指標にしています。

事業は大きく連邦向けソリューション(サイバー、防衛、宇宙関連)、重要インフラ(交通、施設、水・エネルギーの保護・維持)、環境・都市開発(汚染除去、都市計画、交通インフラ)に分かれています。 同社は人工知能や機械学習を活用したサイバー防御技術やPFASなどの新たな汚染物質除去、位置情報保証などの先端技術に投資し、買収を通じて技術力と顧客基盤の拡大を図っています。

経営方針

同社は「統合されたフルライフサイクルのソリューション提供企業」への転換を成長戦略の中心に据え、売上拡大、利幅拡大、安定したキャッシュフローを目指しています。成長の指標としては受注残(バックログ)を重視しており、2024年末のバックログは約89億ドルに達しています。受注競争力の高さも特徴で、2024年の入札勝率は72%、再契約の獲得率は84%と高水準であり、連続的な売上成長(同年は連邦向け事業が前年同期比で33%増、重要インフラ事業が13%増)によって目標達成を図っています。買収戦略も成長の柱で、買収先に求める財務基準として「年率10%以上のトップライン成長、調整後EBITDAマージン10%超、堅実なキャッシュフロー」を掲げ、これらを満たす技術主導の企業を積極的に取り込んでいます。

重点投資分野として、サイバー・情報、宇宙・ミッション防衛、重要インフラ保護、交通、環境浄化、都市開発の6分野を明確に設定しています。具体的には人工知能(AI)や位置情報・時刻同期の確保技術、PFAS(有害化学物質)の除染技術、宇宙領域のサイバー・電子戦といった差別化技術に投資を集中させ、守りのサイバー製品や宇宙の指揮統制システム、インテリジェント交通システムなどの製品開発で総合的な提案力を高めています。技術と顧客関係の強さを活かして「端から端まで」をカバーする提供体制を構築し、2023年のSealingTech買収(買収額約1.76億ドル、追加の成果連動金最大2,500万ドル)などで能力を補完している点が差別化の核心です。従業員は約1万9,600名おり、社内の専門家ネットワークを通じた技術蓄積も進めています。

新市場開拓と事業拡大では、政府系顧客に加えて商業宇宙や地理空間関連の顧客開拓を図る方針です。インフラ分野では米国の大型予算(IIJA)や世界的なインフラ投資を取り込み、道路・橋梁・鉄道・航空などの案件で技術を組み合わせたスマートインフラ事業を拡大します。環境分野では採掘跡地や油井の浄化、PFOS等の新興汚染物質の除去を先導する計画があり、都市開発では産業都市や複合用途開発のプログラム運営を通じて長期の安定収益を狙います。こうした拡大は自社開発と選択的なM&Aを組み合わせ、受注残の増加と事業の縦横展開によって実現する計画です。

技術革新への取り組みでは、社内人材育成と外部技術の取り込みを並行して進めています。社内ではフェロー制度や技術キャリアパスで50名超の専門家ネットワークを活用し、AIや機械学習、エッジコンピューティング、セキュアなデータ管理といった領域の実践的な研究・製品化を促進しています。外部面では技術差別化につながる買収や製品開発に投資し、防御的サイバーや宇宙コマンド・コントロール、周波数管理や生体認証といった商品群を拡充することで、単発のサービス提供ではなくスケール可能な製品・プラットフォームを通じた長期収益化を目指しています。内部的にはアジャイル手法やデジタル化で業務効率を高め、顧客への迅速な価値提供を図る取り組みも進行中です。