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PRICESMART INCPSMT
事業内容
PRICESMART INCは国際的な会員制倉庫型小売チェーンを運営しており、主に中米、カリブ海地域、コロンビアと米国の一部で倉庫クラブを展開しています。大型やまとめ買い向けの商品を中心に、食品、日用品、家電などを割安な価格で販売しています。会員制を軸に低価格と品揃えで顧客に価値を提供しています。
同社の主要顧客は個人会員と小規模事業者の会員で、入会料・年会費という安定的な収入と店頭での物販が売上の大部分を占めます。会費は利益率が比較的高く、商品販売は季節性や為替変動などで四半期ごとに業績が変動する点が投資判断で重要です。
同社は地域ごとに事業を区分しており、米国、中央アメリカ、カリブ、コロンビアの各セグメントで店舗を運営しています。各店舗は大量仕入れと効率的な物流でコストを抑えながら食品、家庭用品、家電など複数の製品ラインを扱い、オンラインや一部関連サービスで店舗ビジネスを補完しています。
経営方針
同社は持続的な拡大と収益性の維持を目指しています。直近の状況では、中央米州・カリブ海・コロンビアで合計54の倉庫型クラブを運営しており、2024会計年度の資本支出は合計1億6850万ドル、そのうち成長投資に9,620万ドル、維持投資に7,230万ドルを充てました。収益性面では、総利益率は15.8%、総収益マージンは17.2%で前年度とほぼ横ばいを維持しており、同社は売上成長とマージン維持のバランスを重視しています。株主還元では、2024年に1.00ドルの特別配当を実施するとともに年間現金配当1.16ドルを支払い、2023年に取締役会が承認した上限7500万ドルの自社株買いプログラムを実質的に完了しました。
同社は差別化のために店舗・サプライチェーン・人材の三点を重点投資分野としています。店舗面では新規出店や既存クラブの移転・改善に投資し、物流面ではマイアミとコスタリカ(サンホセ)にある二つの地域配送センターを中核に供給網を強化しています。人材育成にも力を入れており、2024会計年度には法人向けで6,400回を超える研修を実施、うち約2,100名に「会員重視のマインド」研修を提供しました。会員制モデルと地域採用を軸に、米国水準に匹敵する運営品質を地域で提供することが同社の差別化戦略です。
新市場開拓と事業拡大では、具体的な不動産取得と出店計画で成長を図っています。2024年1月にパナマ市内のクラブ建物と土地を3,300万ドルで取得し、コスタリカのカルタゴでは春2025年開業を目標に用地を購入しており、これが同国での9番目のクラブになります。年度中にはコロンビア、エルサルバドル、グアテマラで新規クラブを開設するなど出店を継続しており、営業床面積は約264.6万平方フィート(うち約40.0万平方フィートは賃貸)に達しています。用地購入に伴う資金調達では、パナマ物件分として1650万ドルの15年借入を行うなど、流動性確保と借入コスト最小化を意識した財務運営が行われています。
技術革新については、全社的な単一ERPの導入は見送り、リスクとコストを抑えるため「既製のパッケージアプリケーション導入」を選択しています。具体的には、需要予測・補充システム(RELEX)、倉庫管理・輸送管理システムのアップグレード、販売時点端末(POS)とECサイトのリプレースを進めており、さらに財務管理や人事管理(タイムキーピング、給与等)のモダンなソリューション評価を行っています。これらの投資は収益源となる基幹システムの近代化と運用リスク低減を目的としていますが、導入遅延やサイバーリスク(個人情報・医療情報の保護、クラウド事業者依存、AIの発展に伴う新たな脅威等)を想定した対策も併せて講じている点が特徴です。