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Public StoragePSA
事業内容
Public Storageは、主に個人と企業向けのセルフストレージ施設の所有・運営を行う大手不動産運営会社で、収納ユニット(普通の倉庫タイプや空調管理付き、車両保管など)を月額で貸し出しています。同社は施設での対面サービスに加え、ウェブ予約やスマホアプリ、eRentalによるオンライン入居手続きを導入し、顧客の利便性向上に注力しています。
同社の主要顧客は引越しや一時保管を必要とする個人と、在庫や書類保管を行う中小企業で、収益の大部分は月額賃料による安定したキャッシュフローです。そこにテナント向け保険や梱包資材の販売、管理受託手数料といった付帯収入が加わり、季節的には夏に需要と賃料が上昇する傾向があります。
事業面では、自社で保有・運営する施設と、第三者からの管理受託の双方を展開し、買収や新規開発でポートフォリオを拡大しています。さらに、施設運営に伴う運営費削減や収益改善を目的に、LED照明や太陽光、デジタルツールを活用した効率化と付帯サービスの強化を進めています。
経営方針
同社は外部成長と内部開発を組み合わせて規模拡大を目指しています。近年の実績としては、2022年以降で合計260施設、約1,850万平方フィートを約37億ドルで取得しており、2024年だけでも22施設を2.67億ドルで買収しました。さらに、2025年2月時点で普通株の自己株式買い戻しは累計約2,444万株、約8.79億ドルにのぼり、発行済み普通株35百万株までの買戻し枠を設定するなど株主還元と資本効率の両面で成長資金配分を行っています(同社は不動産投資信託=REITの形態を維持しています)。
重点投資分野は顧客体験の強化と資産の付加価値向上で、これが同社の差別化戦略です。例えばオンライン経由の利便性を高める施策として、2024年の入居の約83%がウェブ経由で発生し、約70%がスマホで契約完了できるeRental®を利用しています。ブランド力(業界での高い認知度)と集中管理された情報ネットワークにより、近隣競合より高い稼働率・賃料管理を狙える点を強みに、開発・改修を含む「Property of Tomorrow」プログラムによりエネルギー効率化や施設改良へ資本投下を続けています。
新市場開拓と事業拡大は買収、自社開発、第三者向けの管理・貸付の三本柱です。2023年のSimply買収(127施設、約22億ドル)は一例で、買収を通じた市場シェア拡大に積極的で、2024年末以降も9施設(約0.7百万平方フィート)を約1.407億ドルで取得・契約しています。加えて欧州の自社投資(Shurgardに35%出資)や第三者へのブリッジローン・管理受託を通じて収益機会を多様化しており、今後も資本コストや規制環境を勘案しつつ成長案件を選別していく方針です。
技術革新と環境対応にも注力しており、同社は持続可能性と運用効率の両立を目指しています。取締役会に報告するサステナビリティ委員会が温室効果ガス削減目標を設定しており、2022年基準でスコープ1・2の電力由来排出を2032年までに強度ベースで45%削減する目標を掲げています。具体策としてLED照明や高効率空調、太陽光発電の導入、低水利用の灌漑や耐乾燥植栽などを物件改良に組み込み、同時に顧客向けアプリや集中型データ基盤、AIを活用したチャットボットや営業支援で収益最適化とコスト低減を図っています(ただしAI利用には誤作動や規制対応のリスクもあるため管理を強化しています)。