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Profound Medical Corp.PROF
事業内容
Profound Medical Corp.は、切開を伴わない方法で病変組織を除去する医療用プラットフォームを開発・販売する商用ステージの医療機器企業です。同社は画像誘導を使って狙った箇所だけを治療する装置を主力に、患者への負担を抑えた治療選択肢を提供しています。
同社の主要な顧客は病院や大規模な医療センター、泌尿器科や放射線科の医師団体で、収益は大型の装置販売(キャピタル収入)と使い捨て医療材料や保守・延長保証といった繰り返し発生する収入の組み合わせで構成されています。販売は自社の直販体制を中心に、欧州やアジアでは代理店経由も活用しており、導入時の設置やトレーニングが収益認識に影響します。
事業の中心となる製品ラインは、前立腺疾患向けの経尿道超音波アブレーション装置であるTULSA‑PROと、高強度集束超音波を用いるSonalleveの二本立てです。これに加え、治療で使う一回限りの部品やソフトウェア、保守サービスを提供しており、臨床データの蓄積と米国や国際市場での商業展開を通じて事業拡大を図っています。
経営方針
同社は成長に向けて売上基盤の拡大を最優先に据えています。2024年の連結売上高は約1,068万ドル(前期約720万ドル)と約48%の増加を達成し、総資産も約7,023万ドルに拡大しました。資金面では2024年に公募・私募でまとめて資金調達を行い、株式発行による純調達額は約5,720万ドルを確保しており、この資金を使って営業体制の強化や市場投入の加速を図っています。同社はさらに運転資金の柔軟性を高めるため、CIBCと10百万ドルのリボルビング・クレジット契約を締結しており、トレーリング12ヶ月の売上高が1,500万ドルを超えれば最大15百万ドルまで増枠する選択肢を狙っています。ただし、2025年2月の米国関税強化措置など貿易リスクは業績に影響を与える可能性があり、同社は影響評価を継続しています。
同社は重点的に米国での商業展開と、インストール後に継続的に発生する消耗品・保守収入の拡大に投資しています。営業面では直販チームを強化し、米国での販売促進や手技トレーニング、導入時のインストール支援に人員とコミッションを投入しており、これが2024年に米国での「一回限り消耗品・サービス」収入の伸長(2023年の約512万ドル→2024年約646万ドル)につながっています。製品面では磁気共鳴(MRI)誘導下で切開を伴わない組織焼灼を行うプラットフォーム(TULSA‑PRO、Sonalleve)を中核とし、システム(資本設備)販売と使い捨てデバイスや延長保証といった繰り返し収益モデルの両輪で差別化を図っています。
同社は新市場の開拓と事業の国際展開にも注力しています。欧州やアジアでは代理店経由の販売チャネルを並行して運用しており、既存のインストールベースを拡大することで消耗品・サービス収入を増やす戦略を取っています。地域別ではカナダと米国が資産の中心であり(2024年末時点でカナダ資産約5,874万ドル、米国約635万ドル)、フィンランドとドイツにも拠点を置いているため、現地リース拠点の活用や流通網の強化で市場浸透を図る計画です。同社は短中期的にトレーリング売上1,500万ドルを目標に据え、これを達成して追加の融資オプションを行使することで事業拡大の資金余力を高めようとしています。
同社は技術革新に継続的に投資しており、研究開発支援制度への取り組みや臨床データの収集を重視しています。2024年末時点での研究開発関連の税控除対象支出は約1,590万ドルに上り、同社は臨床試験(TACTピボタル試験など)によるエビデンスの蓄積と製品改良に資源を投入しています。加えて、買収した技術の統合(例:Sonalleve)や品質管理、サイバーセキュリティ対策・人材育成制度の整備を進め、製品性能の向上と運用上の安全性確保を両立させることで長期的な競争優位を築こうとしています。