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Perimeter Solutions, Inc.PRM
事業内容
Perimeter Solutions, Inc. は消火と特殊化学品向けのグローバルなソリューション企業で、空中散布や地上投与で使う消火剤(レターダント)や消火用フォーム、これらに付随する装置や緊急補給サービスを主力として提供しています。 同社は製造から現場での供給・サポートまで一体で行い、「失敗できない」現場対応を強みとしています。
同社の収益は地域的に偏っており、年間売上の約79%が米国、約10%が欧州、約6%がカナダ、残りがその他の国々から発生しています。 大口顧客は政府系機関が中心で、2024年は米国農務省森林局と米国土地管理局がそれぞれ売上の約34%と11%を占め、契約や許認可、季節変動(春〜秋の火災シーズン)に収益が左右されやすい構造です。
事業は「Fire Safety」と「Specialty Products」の二つの報告セグメントに分かれます。 Fire Safetyでは消火剤やフォームに加え、空中散布基地向けの貯蔵・混合・供給設備やモバイルユニット、150以上の空中消火基地に対応する緊急補給ネットワークなどを手がけています。 Specialty Productsでは主にP2S5を原料とする潤滑剤添加剤や農薬・鉱業向け化学品、将来的な電池材料用途向けの原料供給に注力し、地域・製品別の五つの事業ユニットで分散運営しています。
経営方針
同社は短期的には収益拡大と株主還元を両立させる成長戦略を掲げています。売上高は2023年の約3.22億ドルから2024年に約5.61億ドルへと大幅に増加しており、営業活動によるキャッシュは2024年に約1.88億ドルを生み出しました。設備投資については2025会計年度の承認額を2,000万ドルとし、保守と成長の両方をまかなう計画です。加えて、取締役会は株式買戻し枠を最大1億ドル(株主承認では発行済株式の25%に相当する36,310,028株)に設定しており、2024年末時点で約9,720万ドル分の買戻し余力を残しています。これらは同社が内部成長投資と資本効率の両面を意識していることを示しています。
同社は投資の重点を消防関連製品と付随サービス、ならびにスペシャリティ製品の基盤強化に置いて差別化を図っています。消防部門では消火剤や消火泡だけでなく、空中散布向けの貯蔵・混合装置や移動式の補給設備など製品と現場サービスを一体で提供する点を強みとし、北米で150以上の空中消火拠点への緊急補給を可能にする「決して失敗しない」サービス網を持っています。スペシャリティ事業では潤滑剤添加剤の原料であるP2S5が主要製品であり、農業や鉱業、そして電池用途といった成長分野への展開を図っています。差別化の裏付けとして、同社は米国および海外で複数の特許を保有し(特許ポートフォリオは約18カ国をカバー)、技術的優位性と顧客対応力で競合と差をつけようとしています。
新市場の開拓や事業拡大は買収と設備投資を組み合わせて進めています。2024年12月に特殊電子機器製造会社を約3,280万ドルで買収し(IMSの取得)、生産能力と技術力を補完しました。また、2024年の売上では商品売上が約4.65億ドル、サービス売上が約9,590万ドルとサービス比率が高まっており、同社はサービス比率の拡大を通じて安定した収益基盤を築こうとしています。一方、収益の約79%が米国に依存しており、主要顧客である米国農務省森林局と内務省局がそれぞれ売上の34%と11%を占めるため、地理的・顧客基盤の多様化も重要な課題として認識しています。今後も追加の買収や必要に応じた資金調達(借入や公募・私募による株式・債券発行)で成長機会を取りに行く方針です。
技術革新については、製品の品質向上と新規技術への投資を通じて市場リーダーを維持する方針です。具体的にはフッ素を含まない消火泡(環境負荷低減を目指す代替技術)への投資や、腐食抑制剤や着色技術など消火剤の改良、液体消火剤組成の改良に注力しています。製品は政府の認定や試験を必要とするため、同社は研究開発と現場試験、規格取得に資源を割り当てることで「承認された高品質製品」を提供し続けることを目指しています。特許や製造設備の強化、そして必要に応じた買収を組み合わせることで、技術面と供給面の両方で差別化を図る戦略です。