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PRA GROUP INCPRAA
事業内容
PRA Group Inc.は世界各地で事業を展開する金融サービス会社で、主に滞納債権の買い取り、回収、管理を行っています。同社は債権を額面より割安で取得し、回収活動を通じて現金化することを中心に収益を上げています。米国ではクラスアクションに伴う債権回収について手数料型のサービスも行っています。
主要な顧客は銀行や消費者金融、自動車ローン業者などの信用供給者で、これらの売り手が回収を断念したアカウントを買い取ります。同社の収益は、買い取った債権から実際に回収した金額と、購入価格や回収コスト、資金調達コストの差額で成り立っています。取引は単発の買い取りのほか、定期的に債権を取得する契約によるものもあります。
事業の中核は不良債権の買い取り・回収事業で、これに加えてクラスアクションの回収を専門に扱う事業を運営しています。同社は一般向けクレジットカード、消費者ローン、自動車ローン、当座貸越や小規模事業向けローンなど多様な債権を扱い、社内のコールセンターや外部委託先、海外拠点や在宅勤務を組み合わせて回収業務を実行しています。
経営方針
PRA Groupは、割引された価格で不良債権(返済が滞った個人向けローン)を買い取り、回収して利益を上げるビジネスモデルを中核に、収益性と資本効率の向上を図る成長戦略をとっています。同社は2024年末時点で純償却後のファイナンス債権残高を約41億ドルまで拡大しており、これは前年から約13.2%増加した結果で、年間で約14億ドル分のポートフォリオを購入したことが主因です。直近の計画では、既存の購入契約(フォワードフロー)に基づき向こう12か月で約4.99億ドルの買い付け見込みがあり、同社はこれらの継続的な仕入れを通じて現金回収を拡大し、Adjusted EBITDAやROATEといった指標での改善を目指しています。
同社は、購入判断と回収効率を高める重点投資を行うことで他社との差別化を図っています。具体的には、過去の回収実績と市場データを組み合わせた独自のモデリングで買値を決定し、投資委員会による審査を経て取引を実行します。回収面では内製のコールセンターと外部ベンダーを組み合わせ、オフショア要員の拡大や在宅勤務のパイロット導入により米国の拠点を6か所から3か所へ集約するなど、コスト低減と生産性向上に投資しています。また、グローバルに米州・欧州・オーストラリアで事業を展開していることを活かし、販売元(銀行など)との関係構築で継続的な買付権を獲得しています。
同社は新市場や事業ポートフォリオの見直しも並行して進めています。例えばブラジル関連の投資持分11.7%の売却手続きを2025年半期内に完了する見込みで、為替等条件に基づき約2,500万ドルの税引後純益を見込んでいます。地域別には米州・オーストラリアで約4.03億ドル、欧州で約9,580万ドルのフォワードフローを想定しており、条件が合致する市場ではスポット買いと定期買いの両方でポートフォリオ規模を柔軟に拡大していく方針です。同社は財務面での柔軟性確保のために債務調達も活用しており、2024年は約33億ドルの借入残高を管理しつつ、株主還元余地(最大1.5億ドルの自社株買い枠で残り約6,770万ドル)も維持しています。
同社は技術革新による回収効率向上を重要な柱と位置づけています。将来回収見込みを割引現在価値で算出する手法や大規模データを用いた価格付けモデルの整備に加え、デジタル接触チャネルや自動化ツールの導入で回収コストを下げる取り組みを進めています。AIの活用やサイバーセキュリティ対応も経営課題として明示しており、同社はこれらに投資して運用の精度を高めることで、法規制対応とコンプライアンスを保ちつつ収益の持続的な拡大を目指しています。