PORTLAND GENERAL ELECTRIC COPOR

時価総額
$53.9億
PER
発電・送配電と小売を手掛ける垂直統合型電力事業の有力企業。再生可能エネルギー選択や卸売市場での電力売買、月次課金の小売サービスを展開。州法HB2021で2030年にGHG80%削減、2040年に100%クリーン電力を目標、グリーン・フューチャーに23万人超が参加。オレゴン州内を中心にサービス提供。

事業内容

PORTLAND GENERAL ELECTRIC COはオレゴン州で発電、送電、配電、そして小売での電力販売まで一貫して行う垂直統合型の電力会社です。同社は自社発電所に加え地域の卸売市場から電力を調達して、家庭や企業に安定した電力サービスを提供しています。再生可能エネルギーの導入や温室効果ガス削減にも注力しています。

同社の主要顧客は住宅、商業、工業の小売顧客や公共の街路灯などで、料金は州の規制に基づく運賃制度で決まります。月次の検針で請求するとともに、時間帯別料金や市場連動型、再生可能エネルギーの選択肢など複数のプランで収益を確保しています。

同社は報告上は単一の事業セグメントで管理していますが、実務面では小売販売が中核で、卸売市場での短期売買や他社向けのポートフォリオ管理も行っています。加えて送電サービス料、余剰送電容量の再販、電柱接続料や余剰燃料の売却といったその他の営業収入もあります。今後は電力網の高度化と脱炭素化への投資を通じて、信頼性の向上と成長を目指しています。

経営方針

同社はクリーンエネルギーを軸に安定した株主還元と成長を両立させることを成長戦略の中核に据えています。具体的には、小売向けに供給する電力の温室効果ガス(GHG)排出量を2030年に少なくとも80%削減、2040年に100%削減するという州法(HB 2021)に整合する目標を掲げ、同時に連続的な業績改善を目標に1株当たり利益(EPS)を年率5〜7%成長させることを目指しています。事業モデルは発電・送配電・小売を一貫して行う垂直統合型であり、小売収入に加えて卸電力市場での売買や再エネプログラム(Green Future Programの参加者は23万人超)により収益基盤の安定化を図っています。

投資の重点分野は、送配電網の近代化と蓄電池を中心とした系統柔軟性の強化です。2024年の総設備投資は約$1,262 million(約12.6億ドル)にのぼり、その内訳では継続的なインフラ更新が約$851 million、送電網投資や蓄電池プロジェクト(BESS)が相当部分を占めています。蓄電池(BESS)投資は2024年に約$243 million、2025年も約$165 millionを見込んでおり、こうした分散型電源や蓄電によって再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統運用の差別化を図っています。また、州規制(OPUC)を通じた原価回収メカニズムを活用しつつ、地域密着での信頼性維持と再エネ導入で競合他社と差別化しています。

新市場開拓や事業拡大では、「電化の促進(Electrify the Economy)」を掲げ、電気の利用拡大による需要創出とサービスラインの拡充を進めています。具体的な施策としては、デジタル化や時間帯別料金、マーケット連携を通じた大口需要(たとえばデータセンター等)への対応、卸市場でのポートフォリオ運用強化などで需要を取り込みます。資金面では2025年の設備投資を約$1.3 billionと見込み、2024年の営業キャッシュフロー$778 millionを踏まえ、2025年は営業CFを$900〜$1,000 millionと想定し、必要に応じて最大$550 millionの社債発行、公開買付(ATM)やコマーシャルペーパーでの調達を組み合わせて実行する計画です。

技術革新への取り組みは、系統のスマート化とサイバー・物理の両面強化に重点を置いています。具体的には、蓄電池や分散型再エネを統合する「スマートで相互接続されたグリッド」の構築、運用効率と設備信頼性の向上を狙ったデジタル化投資、そしてサイバーセキュリティ対策としてNISTフレームワークに基づく体制を整備し、元FBI幹部を要するセキュリティ責任者を置くなど人的・技術的対策を進めています。内部統制についても経営陣は有効性を確認しており、独立監査人による内部統制の無限定意見を得ている点も投資家にとって重要な安心材料です。