PATRIOT NATIONAL BANCORP INCPNBK

時価総額
$1.6億
PER
商業銀行の有力企業。Digital Payments Division(DPD)による高頻度決済処理とSBAローンの引受・販売を展開、従業員129人(2024年12月31日時点)。2025年3月13日の証書提出でシリーズA優先株500,000株を指定。コネチカット州とニューヨーク州の都市部を中心に展開。

事業内容

PATRIOT NATIONAL BANCORP INCはコネチカット州を拠点とする地域銀行持株会社で、子会社の銀行を通じて預金の受入、商業・住宅・消費者向けの融資、投資証券運用といった伝統的な銀行業務を行っています。加えて、中小企業向けのSBAローンの組成・販売や、高頻度決済を扱うデジタル決済部門を通じて低コストの預金を獲得しています。

同社の顧客層は地域に根ざした個人と地元の中小企業(製造業者、卸・流通、サービス業など)が中心で、デジタル決済ではプログラムマネージャーなど事業者とも取引しています。収益は貸出利ザヤによる純金利収入が柱で、口座手数料や決済手数料、SBAローン売却益などの非金利収入がこれを補完する構造です。

同社は事業を商業不動産向け、商業・産業向け、住宅ローン、建設融資、消費者ローンといった融資セグメント別に管理しています。さらにSBAローンの組成・販売やデジタル決済による預金獲得、支店網とオンラインチャネル、外部サービス業者との提携を組み合わせて収益と資金調達の多角化を図っています。

経営方針

同社は直近の資本再構築と収益基盤の立て直しを成長戦略の中心に据えています。2024年は純損失が約3,990万ドルに達し、繰延税金資産に対する評価引当が約2,510万ドル計上されたことが業績に影響しましたが、経営陣は資本と流動性の強化を優先しています。その具体策として、2025年3月のプライベート・プレースメントやシニアノートの修正により資本条件を改善しており、シニアノートの満期を2028年4月15日に延長、利率を2026年1月1日以降年率10.0%に引き上げる一方で、既存債権の一部5.0百万ドルを普通株に按分で転換する手当ても講じています。これらにより同社は規模を保ちながら損失圧力を抑え、将来的な収益回復を目指しています。

同社は重点投資分野として、コアとなる預金獲得と低コスト資金源の確保、及び人材獲得・定着を掲げています。高ボリュームの入出金を扱うデジタル決済部門は低コスト預金と手数料収入の重要な供給源になっており、ローンのうちリスクの高い分野を選択的に縮小して貸出残高を2023年末の8億4,890万ドルから2024年末の7億75万ドルへ削減するなど、与信リスクの引き下げも進めています。経営人材を引き付けるための施策として、取締役会が承認した「2025年包括株式報酬計画」は付与可能株式上限を発行済株式の20%(下限は1,000万株)とし、社長には最低年俸20万ドルと最大約4,049,593株相当の譲渡制限付株式報酬(RSU)を含む雇用契約を設定するなど、株式を用いたインセンティブで差別化を図っています。

同社は事業拡大にあたり、地域的な貸出先の裾野拡大と資本市場を通じた支援の両面を計画しています。支店網のあるコネチカット州フェアフィールド郡やニューヘイブン郡、ニューヨーク州ウェストチェスターやニューヨーク市の顧客を引き続き狙う一方で、SBA(米国小企業庁)保証付きローンの取り扱いやデジタル決済のプログラム・マネージャーとの協業で預金基盤を拡大する方針です。資本面では複数の投資家がプライベート・プレースメントで数百万株を取得しており、主要取得者はSugarman信託が約7,019,978株(約9.5%)、FHNBが約6,666,667株(約9.0%)、CB Growthが約6,000,000株(約8.1%)を取得するなど、大口投資家の参画を受けて再成長の足場を固めようとしています。

同社は技術と情報セキュリティへの投資にも力を入れており、事業継続性と顧客データの保護を重視しています。専任の最高情報責任者の下で多層的なセキュリティ対策を運用し、外部の侵入テストや監査、定期的な訓練や模擬フィッシングによる従業員教育、インシデント対応計画の年次検証を実施している点は明確な施策です。また、デジタル決済やオンライン預金チャネルを支える技術基盤への投資で顧客利便性を高め、低コストの預金獲得と手数料収入の拡大を技術面から支援することで、競合する大手行や非銀行系プレーヤーとの差別化を図っています。