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CPI Card Group Inc.PMTS
事業内容
CPI Card Group Inc.は決済カードの設計・製造とそれに付随する個別化・発送サービスを手がける企業です。同社は物理カードの生産に加え、カードデザイン、データの印字・埋め込み、封入・発送までを一貫して提供しています。
同社の主要顧客は銀行やカード発行会社、フィンテック企業で、近年は医療や交通、ギグエコノミーなど非金融分野にも事業を広げています。収益はカードの製造・個別化による物販収入と、即時発行ソフトウェアのようなサービス収入や発送・フルフィルメントの手数料が中心です。
事業は大きくデビット/クレジットカード部門とプリペイド/ギフトカード部門などのセグメントに分かれています。製品ラインは接触型・非接触型の決済カード、環境配慮型のエコカード、カード向けソフトウェアや梱包・物流サービスなど多岐にわたっています。さらに同社はデジタル即時発行などの新しいソリューション開発にも注力しています。
経営方針
同社は売上拡大と収益基盤の強化を成長戦略の中核に据えています。直近の連結売上高は2024年に約4億8060万ドル(2023年は約4億4450万ドル)と約8%の増収を達成しており、EBITDAは約7,553万ドルを確保しています。株主還元と資本効率の観点では、取締役会は最大2,000万ドルの自己株買い枠を承認し、2024年には約860万ドルを取得しました。こうした数値を踏まえ、同社は既存事業の深耕と並行して、より高付加価値なサービスやデジタル製品への投資で中長期の成長を目指しています。
重点投資分野として同社はカード本体の高品質化と付加サービスの強化に注力しています。具体的には、ICチップやアンテナの安定調達確保のために供給先と容量予約契約を結び、2024年末時点で約6,200万ドルの残コミットメントを保有するとともに、同年のチップ関連購入は約6,840万ドルに達しました。また、再生素材を使った「Second Wave」「Earthwise」といった環境配慮型カードを主要決済ブランド向けに承認・提供しており、デザインから個人化や物流までの一貫提供で差別化を図っています。なお、2024年は購入チップの約95%が上位3社から供給され、そのうち約78%が1社依存であるため、サプライチェーン管理も重要な投資対象です。
新市場開拓では金融以外の業種への横展開を積極的に進めています。同社は医療やギグエコノミーといった非伝統的な顧客層へのカード提供を既に開始しており、即時発行を可能とするSaaS型のデジタル発行サービスを活用して新たな顧客セグメントを取り込む方針です。さらに、戦略的な買収や提携も継続的に検討しており、2024年の設備投資は約925万ドルと設備強化にも資金を振り向けています。ただし、長期債務の満期(現行契約では2029年7月15日)や買収統合のリスクを踏まえ、資金調達と実行のバランスを取りながら拡大を目指しています。
技術革新への取り組みとしては、接触型カードと非接触型カード(近距離無線通信を用いる方式)の両面での製品開発と、それを支える製造自動化やソフトウェアの整備に注力しています。サイバーセキュリティ対策は経営層と取締役会が関与する形でNIST等の枠組みに沿って整備しており、製品・データ保護の強化を図っています。経営インセンティブも成長と株主価値に連動する設計で、例えば経営陣には株価目標(35ドル、50ドル、65ドル)到達時に権利が確定する業績連動株式報酬を付与しており、技術革新と事業成長を経営と株主の利害と一致させることを目指しています。