Plymouth Industrial REIT, Inc.PLYM

時価総額
$10.1億
PER
工業用不動産の有力企業。倉庫・流通センターの取得・運営・再開発を展開。2024年12月時点で129物件・199棟、約2925万平方フィート保有、2024年11月に34物件をジョイントベンチャーへ移管し35%持分取得。米国の11州を中心に展開。

事業内容

Plymouth Industrial REIT, Inc.は、主に米国の工業用不動産を取得・所有・管理する上場の不動産投資信託(REIT)で、配送センターや倉庫、ライトインダストリアルや小規模ベイの物件を中心に保有しています。同社はオペレーティングパートナーシップを通じて資産を運用しており、129物件、約2,930万平方フィート規模のポートフォリオを全国11州で展開し、ニューヨーク証券取引所では「PLYM」として取引されています。

同社の主要な顧客は物流、製造、小売など34業種にわたる約443の借主で、2024年末時点の稼働率は約92%です。収益の大半は賃料によるもので、賃料の多くは借主が維持費などを負担するトリプルネット型の契約から安定した現金収入を得ており、合弁事業の持分利益や管理手数料も収益源になっています。

事業の中身は単独テナント物件と複数テナント物件の両方に投資する点が特徴で、主に労働力や物流網の整った中核・準中核市場を狙っています。投資方針は、低めの賃料や近い満了を迎える賃貸を取得して市場水準へ引き上げることや、改装・再開発・新築による付加価値向上により収益を高めることに重点を置いています。運用面では入居維持、空室の早期成約、経費管理といった積極的な資産管理でキャッシュフロー改善を図っています。

経営方針

同社は株主に対して配当と資本価値の両面で魅力的なリターンを提供することを成長目標としています。具体的には、2024年末時点で129物件、約2,925万平方フィートを保有し、ポートフォリオ全体で92.3%の稼働率を確保しており、2024年には9物件を合計約1.22億ドルで取得するなど買収を積極化しています。配当政策では税務上の課税所得の少なくとも90%を原則として分配する方針を掲げ、REIT資格を維持しながらキャッシュフローの安定化を図っています。加えて、ポートフォリオの平均残存リース期間は約3.2年と短めで、早期の賃料改定や再リースで収益性を高める余地を残しています。

同社は単一テナントおよび複数テナントの工業系不動産(配送センター、倉庫、軽工業施設、小規模工場等)に重点投資しており、主要市場とセカンダリ市場の労働力や物流動線に近い立地を重視しています。差別化の源泉としては、テナントが相対的に割安な賃料で入居している物件や短期で満期を迎える賃貸契約を買い取り、市場賃料へ引き上げる価値向上(リース改定、改修、再開発、場合によっては新築)を行う点を挙げています。賃料収入の約83.6%がトリプルネット型の契約であることから、運営費用の変動を抑えつつ安定したインカムを確保する運営を行っています。

同社は新規市場開拓や事業拡大を合弁出資やストラクチャード取引を通じて進めています。機関投資家との合弁による資本効率の向上や手数料収入、利益分配を狙う方針で、実例として2024年にシカゴ圏の34物件を合弁スキームへ寄託し、同社は35%の持分を取得してポートフォリオの再編と資本の再配置を実行しました。また、2025年2月にはシンシナティで約26.3万平方フィートの単棟物件を2,330万ドルで取得するなど、ターゲット市場での個別取得も継続しています。今後は第三者購入、セール・リースバック、合弁による機会投資や開発・再開発を組み合わせて成長を図る計画です。

同社は意思決定と運営の効率化にデータと技術を取り入れる取り組みを進めています。投資判断にはデータ駆動型・イベント駆動型の分析や現地調査を組み合わせ、財務面では確率シミュレーション(モンテカルロ法)を用いたワラント評価や金利ヘッジの活用など高度なモデルを採用しています。内部統制と開示体制も強化しており、開示管理や財務報告に関する統制は2024年12月31日時点で経営陣が有効と評価しており、独立監査法人による監査も受けています。これらにより、物件取得から賃貸運営、資本市場での取引に至る一連のプロセスで精度の高い運営を目指しています。