Prologis, Inc.PLD

時価総額
$1142.5億
PER
物流不動産の最大手。都市近接のLast Touch施設や輸入・全国配送センター、運用支援プラットフォームを展開、連結賃貸面積は646百万平方フィート。2022年10月に同業を232億ドルで買収。米国・欧州・アジアで展開。

事業内容

Prologis, Inc.は世界各地で大型物流施設の所有・開発・運用を手がける不動産会社です。同社は都市近接の「Last Touch®」やインフィル施設をはじめ、倉庫や輸入・国内・地域配送センターを展開し、消費者への迅速な配送を支える立地に重点を置いています。

主要顧客はAmazon、Home Depot、FedEx、UPS、DHLなどの大手小売・物流事業者やメーカーで、2024年時点で上位10社が賃料収入のおよそ16%を占めています。同社は長期賃貸による賃料収入や物件運営費の負担金に加え、開発や共同投資事業からの運用手数料や成功報酬でも収益を得ています。

事業は大きく「不動産(賃貸・開発)」と「ストラテジックキャピタル(共同投資の運用)」の2セグメントに分かれます。同社は土地保有と開発力、顧客向けの運営支援やエネルギー・サステナビリティ関連サービスを組み合わせ、多様な物流ニーズに対応できるポートフォリオを持っています。

経営方針

同社は安定した有機成長と資本効率の向上を両輪に据えた成長戦略を進めています。具体的には既存賃貸ポートフォリオのロールオーバーでの賃料上振れ(同社の算出でリースのマーク・トゥ・マーケットは約30%)を取り込み、2024年末時点で稼働率95.8%、当年に新規・更新したリースのネット有効賃料変化は68.7%という高い収益改善を生むことを重視しています。加えて、ストラテジックキャピタル事業(共同投資ベンチャー管理)は連結売上・FFOの約5〜10%を安定的に寄与しており、同社はこれらの収益源を組み合わせて長期的にNOIやFFOを拡大することを目指しています。

同社は立地とスケールに投資することで差別化を図っています。具体的には、都心近接で最終消費者への迅速配送を可能にする「ラストタッチ」施設や主要港・輸送結節点に近い輸入・全国配送センター、地域配送センターに重点を置き、O&M(所有・運営)ポートフォリオは約13億平方フィート、連結物件だけでも約6.46億平方フィートと大規模なネットワークを保有しています。さらに開発用のランドバンクを活用し、O&Mベースで総額約415億ドル相当の新規開発投資(TEI)を見込むパイプラインを持ち、データセンター転換も含め約9億ドル分の開発が進行中である点が差別化要因です。

新市場開拓と事業拡大は、共同投資(co‑investment)を軸にしています。同社は世界の機関投資家と155の投資家関係を有するベンチャーを運営し、外部資本と連携して資産を拡大することで自己資本の効率を高めています。実績としては2024年に資産の寄与や非戦略資産売却で約48億ドルの純収入と約13億ドルの純益を実現しており、また2022年のDuke買収(総額約232億ドル、取得面積約1.444億平方フィート)は規模拡大と市場ポジショニング強化の典型例で、同社は今後も既存市場での開発投資と共同投資を通じてグローバルに事業を拡大する方針です。

同社は技術革新とサービス拡充にも注力しており、顧客向けソリューションの提供と運営効率化を進めています。企業内ベンチャー投資(Prologis Ventures)や顧客向けプラットフォーム(Prologis Essentials)を通じて、物流のデジタル化、エネルギー効率化や再生可能エネルギー導入を促進しており、従業員の人材育成にも投資して2024年は約1,800人が計15,400時間超の研修を受講しました。同社はこれらの技術とサービスを組み合わせることで物件の付加価値を高め、顧客のサプライチェーン改革を支援することで競争力を強めることを目指しています。