Alpine Income Property Trust, Inc.PINE

時価総額
$2.4億
PER
米国の商業用ネットリース型REITの有力企業。小売中心の134物件保有と商業ローン投資を展開。主要株主が14.8%を保有、2024年に12物件を総額1.036億ドルで取得、同年15物件を6,200万ドルで売却。米国内35州で展開。

事業内容

Alpine Income Property Trust, Inc.は米国の商業用不動産を保有・運営する不動産投資信託(REIT)です。同社は主に長期の純賃貸契約に基づく小売中心の高品質物件を保有し、テナントが不動産税や保険、修繕など多くの運営費用を負担する形で賃料収入を得ています。

主要な顧客は信用力の高い業界大手のテナントで、電子商取引の影響を受けにくい業種や実店舗をオムニチャネルの一部として活用する事業者が多く入居しています。同社の収益は賃料収入が中心であり、加えて商業ローンや建設ローンへの投資、セール・リースバック取引からの利息や売却益も収益源になっています。

事業は大きく「収益物件」と「商業ローン・投資」の二つのセグメントに分かれており、収益物件が資産と売上の大部分を占めます。同社は物件の立地やテナントの信用力、賃料水準などを重視して単独物件や小規模ポートフォリオの取得を行い、売却やローン組成を通じてポートフォリオを調整しています。

経営方針

同社は、米国内に134件(35州)のネットリース物件を保有する不動産投資信託として、安定した現金配当とリスク調整後の収益拡大を目指しています。成長は物件取得と商業ローン投資の二本柱で進めており、2024年には12物件を合計約1.036億ドルで取得、同年の収益の約88.1%は収益物件セグメントが占めるなど、収益基盤の拡大に注力しています。資金面では最大2.5億ドルのクレジット枠を活用(2024年12月時点の残高は約1.02億ドル、利用可能残高は約8,950万ドル)し、公開増資や「随時売付」プログラムによる資金調達も併用しており、持続的な取得余力の確保を図っています。

同社は投資対象を主に小口の小規模案件や単一資産に絞ることで差別化を図っています。想定テナントは信用力の高い小売や、電子商取引の影響を受けにくい業種、店舗をオムニチャネル戦略の一部として維持する企業を重視し、賃料は市場水準以下や再取得コストを下回る投資条件を狙います。物件選定では立地・市場人口動態、テナントの財務健全性や物件の戦略的適合性といった定量・定性的な評価基準を用い、過去の取得案件では加重平均でおおむね8〜9年程度の残存リース期間を確保するなど、安定収入を重視した選定を行っています。

事業拡大は買収に加え、商業ローンの組成やセールス・リースバック等の多様なスキームで進められています。例えば2024年には建設ローンやテナントの再買戻し条項付きのセールス・リースバック(タンパ物件で約3,140万ドル)に投資し、商業ローン投資ポートフォリオは年末時点で9件、うち建設ローンが複数を占める構成です。加えて、ローン参加持分の売却や資産売却(2024年は15物件を合計6200万ドルで処分)を組み合わせて流動性を管理しつつ、配当原資の安定化と取得余力の最適化を図っています。同社はこうした複数の手段を通じて、投資機会を柔軟に取り込みつつ長期的な収益拡大を目指しています。

技術革新面では、情報セキュリティとリスク管理を経営戦略の重要項目と位置づけています。監査委員会の監督の下、外部の運用パートナーと連携してファイアウォールや不正検知、端末保護、アクセス制御といった技術的対策を整備し、侵害対応の計画を文書化して定期的に演習・検証しています。また、ベンダー管理や第三者リスクの評価、社員向けの啓発教育を継続して行い、評価結果は取締役会に報告して方針を更新する仕組みを採っています。加えて、金利上昇リスクに対しては金利スワップ等のヘッジを利用しており、金利変動の影響を軽減する実務的な対処を行っています。