Premier, Inc.PINC

時価総額
$23.3億
PER
医療向けテクノロジー改善サービスの最大手。統合データ分析、SaaS型臨床インテリジェンス、グループ購買とプロキュア・トゥ・ペイを展開。2025年6月13日にIllumiCareを約4,750万ドルで買収。米国全域で約2,700名の従業員と展開。

事業内容

Premier, Inc.は、米国の医療機関向けに技術とデータを活用して医療の質向上とコスト削減を支援する企業です。同社はデータ分析、クラウド型ソフト(SaaS)、共同購買やサプライチェーン管理、コンサルティングを組み合わせた総合プラットフォームでソリューションを提供しています。

同社の主要顧客は病院やヘルスシステム、医師団体、保険者、医療製品・サービスの供給者などで、メンバーシップを通じた長期的な関係を築いています。収益は共同購買からの手数料や収益分配、ソフトウェアのライセンス・サブスクリプション、コンサルティングや運用支援契約など複数の柱から成り立っています。

事業は大きくサプライチェーン関連とパフォーマンス関連に分かれ、前者では共同購買組織(GPO)や調達から支払いまでを自動化するサービスで調達コストの削減を支援しています。後者では臨床インテリジェンス、収益改善、価値基準のケア支援に向けた分析やAI、現場導入を伴うコンサルティングで病院の臨床・運用改善を実行する製品ラインを展開しています。

経営方針

同社は成長を買収と自社プラットフォームの強化で両輪的に進めています。経営判断の主要な指標として「セグメント調整後EBITDA」を用い、事業ごとの採算性を見ながら資源配分を行っています。具体的には2025年6月にIllumiCareを約4,750万ドル(手元資金で約3,980万ドル)で買収し、最大で追加1,500万ドルの成果連動型支払いを設定するなど、技術や製品を短期で取り込むM&Aを積極化しています。同時に株主還元や資本政策も重視しており、2024〜25年度に合計約2億ドルの自社株買いを実行し、四半期配当も継続して支払っています(四半期あたり0.21ドル)。

投資の重点分野はサプライチェーンサービスとパフォーマンスサービスの二本柱です。サプライチェーン側ではグループ購買(GPO)や調達から支払いまでを自動化する「プロキュア・トゥ・ペイ」プラットフォームに注力し、光学文字認識(OCR)等を使ったデジタル請求処理でコストと手間を削減する取り組みを進めています。パフォーマンス側では、臨床インテリジェンスや収益改善、価値基準のケアを支える解析・コンサルティングを強化し、会員病院から得られる匿名化データと協働プログラム(例:「100 Top Hospitals」)を差別化要素にしています。組織としては従業員約2,700人、営業・商談系チームだけで約500人を配置し、現場密着で導入と継続課金を拡大する方針です。

新規市場開拓では、保険者(ペイヤー)や製薬・医療機器などライフサイエンス領域への展開を明確に掲げています。Applied Scienceなどを通じたリアルワールドデータや治験支援のサービスを拡大し、ExPreを通じた製薬供給の確保(Exelaへの出資)など、供給側の安定性確保や新たな収益機会の獲得にも踏み込んでいます。非医療分野に対しても、ERPやGPOに依存しない調達・支払いプラットフォームを提供することで顧客基盤の横展開を図っています。

技術革新には継続的に資源を投じる方針で、特にAIを活用した解析・意思決定支援の導入を重視しています。社内ではNISTに準拠したサイバーセキュリティ体制を整備し、外部監査や年次評価を組み合わせて情報保護にも注力しています。加えて、必要な技術を外部から取り込むための買収やパートナーシップを積極的に活用しており、IllumiCareの買収で取得した開発済み技術(無形資産の評価約1,970万ドル)や将来の製品化を通じて、会員と市場のニーズに即した新サービスの迅速な投入を目指しています。