Parker-Hannifin CorpPH

時価総額
$1038億
PER
モーション&コントロール技術の世界最大手。ハイドロリクス、空気圧、電動化やフィルトレーション製品を展開。22年9月に同業を72億ドルで買収、25年6月に約10億ドルで買収合意。世界43カ国以上で展開。

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企業概況
103文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
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ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Parker-Hannifin Corporationは、モーションと制御に関する技術を軸に、流体制御や駆動装置、フィルターや熱管理機器などの部品・システムを設計・製造し、アフターマーケットの保守・交換部品まで一貫して提供しているグローバル企業です。同社は幅広い産業向けに高度にエンジニアリングされたソリューションを供給しており、製品は単品からシステム納入まで多様です。

主要顧客は航空機メーカーや防衛関連企業、産業機械メーカー、輸送機器メーカー、エネルギー事業者や設備保守を行うディストリビューターなどで、受注型の新造(OEM)売上と部品・メンテナンスによるアフターマーケット収入が収益の中核を占めています。同社は事業と地域が分散しているため特定顧客への依存度が低く、長期契約や受注残が収益の安定化に寄与しています。

事業は大きく航空システム部門と多様産業向け部門に分かれ、航空系では燃料系部品やブレーキ・操縦系統、電源・空調関連のシステムを航空機メーカーに直接納入しています。多様産業向けでは油圧・空気圧機器、バルブやホース、フィルター、センサーや制御機器などを工場や現場向けに販売し、地域拠点の営業や独立ディストリビューターを通じて販路を維持しています。加えて設計力を生かしたカスタム品とアフターサービスで付加価値を高め、買収や事業再編で技術と市場の拡大を図っています。

経営方針

同社は「The Win Strategy 3.0」を成長の中核に据え、責任ある持続可能な成長を目指しています。重点市場は航空・防衛、工場内・産業機器、輸送、オフハイウェイ、エネルギー、空調・冷凍で、これらの分野での営業機会に注力する方針です。直近の規模感では、2025年度の売上高は約198.5億ドル、純利益は約35.3億ドル、受注残(バックログ)は約110億ドル、粗利率は36.9%といった実績があり、事業拡大と収益性向上を同時に追求しています。長期の業績インセンティブでは、平均自己資本利益率またはフリーキャッシュフローマージンの目標として4%が設定されており、これらの達成が報酬に直接結びつく仕組みを導入しています。

同社は成長投資の重点を、既存事業の強化と選択的な買収に置いています。技術的に強みのある分野を集中的に補強するため、2022年に約72億ドルでMeggittを買収して航空関連技術を拡充し、2025年には電動モータ制御などを手掛けるCurtis Instrumentsの買収(約10億ドル)を発表するなど、戦略的M&Aを活用しています。一方で、事業ポートフォリオの最適化として、複合材料・燃料タンク関連事業(CFC)を約5.55億ドルで売却するなど非中核資産の整理も進めています。差別化の源泉は、油圧・空気・電気・流体処理など多様な制御技術を組み合わせた「連結されたソリューション」と、設計力やアフターサービス、分散型の営業体制による顧客密着であり、顧客に「価値で価格を決める」製品・サービスを提供する点を強調しています。

新市場開拓と事業拡大は、買収による技術・製品ポートフォリオの補強と、地域・用途別の組織再編で進められています。同社は「地域ごとに地元で生産する(local for local)」方針でサプライチェーンを強化し、為替や貿易政策、インフレの影響を供給網の多様化や価格転嫁、リーン活動で緩和しています。資本配分では株主還元も重視し、2014年からの自社株買いプログラムの下で2025年度は約250万株(約16億ドル相当)を買い戻しており、2025年8月に買戻枠を合計2,000万株に更新するなど柔軟なキャッシュ運用を行っています。受注残のうち約71%が12か月以内に売上化見込みであることから、短期の収益化も見込めます。

技術革新への取り組みは、電動化やクリーンテクノロジーへの投資を通じて競争優位を高めることにあります。同社は設計・製造の技術力を生かしてエネルギー効率や運用コストの低減を示す製品を提供し、特許や商標など知財を保有して技術資産を守っています。具体的には電動モータ制御やパワーエレクトロニクスの強化、燃料・流体管理の高効率化、そして製造現場でのリーン導入やデジタル化により生産性を高める施策を実行中です。これらを通じて同社は顧客のコスト削減に直結する提案を増やし、長期的な環境負荷低減と収益性の両立を目指しています。