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PROGRESSIVE CORPPGR
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事業内容
PROGRESSIVE CORPは米国を拠点とする損害保険の持株会社で、自動車保険を中核に、個人向けの住宅保険や二輪車、レジャー用車両・船舶向けの保険などを販売しています。同社は直販と独立代理店の両チャネルを使い、スマートフォンのアプリなどを通じて運転データを活用した料金体系や顧客体験の改善に取り組んでいます。
主要な顧客は個人のドライバーや家庭に加え、小規模事業者や運輸業者などで、自動車保険が収益の大部分を占めています。収入の中心は保険料であり、保有資産の運用益や代理店手数料、外部商品の紹介によるサービス収入がそれに続きます。複数の保険をまとめた割引や付帯サービスで顧客の維持を図り、長期的な価値を高める戦略を進めています。
事業は大きく個人向け、商業向け、投資・サービスの領域に分かれており、個人向けでは個人用自動車や住宅、特種車両の保険を扱います。商業向けは商用車の賠償や物的損害、小規模事業向けの一般賠償や労働者補償が中心です。投資部門は保険引受を支える資産運用を行い、手数料型のサービス事業は規模は小さいものの代理業務や外部商品の紹介で収益に貢献しています。
経営方針
同社は「消費者、代理店、事業主にとっての第一の目的地」になることを目指しています。その成長戦略は長期的な企業価値の最大化に重きを置き、短期的な業績管理にとらわれない姿勢を取っています。株主還元では、2024年5月に上限2,500万株の自己株式取得を取締役会が承認しており、四半期配当の実施と少なくとも年一回の変動配当の検討を公表しています。一方で同社は市場向けに業績予想を公表せず、実際の決算が期待と大きくずれることによる株価や債券価格の変動を容認する方針であることも明示しています。
同社は商品設計とチャネルを通じた差別化に重点投資しています。個人向け自動車保険では利用実績に基づくテレマティクス「Snapshot」をアプリとハードウェアで提供し(カリフォルニア州を除くほぼ全州で利用可)、顧客の運転データを価格や引受モデルに反映しています。代理店向けには「Platinum」プログラムを通じて約7,100の選定代理店と連携し、複数商品をワンストップで見積もれる「Portfolio」システムを提供して代理店のバンドル販売を促進しています。こうした取り組みは、バンドル顧客の解約率低下や損害率の改善につながると同社は見ています。
事業拡大ではパーソナルプロパティ(家庭用不動産・家財)事業を本格展開しており、2024年末時点で20州が次世代モデルに移行し、同事業の純保険料の約55%を占めています。個人自動車の最新プロダクトモデル8.9は17州で導入され、同社全体の個人自動車保険料と契約数の約40%をカバーしています。モデル8.9では外部データの活用拡大や「Progressive vehicle protection」という新たな機械的故障補償を導入しており、モデル9.0は2025年中頃からの段階導入、9.1は設計段階という具体的なロードマップを示しています。また、商業保険分野では商用自動車で2015年以降首位を維持しており、商業線は2024年に総保険料の約15%を占めています。
同社は技術革新と情報セキュリティに継続投資しています。大規模で複雑なITシステムと外部サービスを用い、ISO 27002と米国標準技術研究所(NIST)のサイバーセキュリティ枠組みを組み合わせて多層防御を構築していると明記しています。保険商品の高度化はモデルの段階的ロールアウトで実行され、テレマティクスや外部データの取り込みにより引受・価格精度を高める一方で、投資ポートフォリオは短中期の投資適格債中心に運用し、ESG評価も投資判断に反映しています。投資収益面では総投資収入が2024年に約31億ドル、税引前トータルリターンで約33億ドルと回復基調である点も、同社の資本力と成長投資余地を裏付ける指標です。