Perfect Corp.PERF

時価総額
PER
AI・ARを活用したビューティー・ファッションテックの最大手。2015年にARメイクやブランド向けクラウドSaaS、プレミアムアプリを展開。CyberLinkやGoldman Sachsが出資、2025年1月にWannabyを買収。米国・欧州・アジアを中心に展開。

事業内容

Perfect Corp.はAIと拡張現実(AR)を活用し、消費者向けのモバイルアプリとブランド向けのクラウド型ビューティーテクノロジーを開発・運営しています。主力はスマホやウェブで動く仮想メイクや試着機能と、それをブランドが自社サイトや店舗に組み込むためのオンラインプラットフォームです。

同社の収益はブランド向けB2B事業と個人向けサブスクリプションの二本柱で成り立っており、2024年はアプリ購読が全体の約60%、ブランド収入が約37%を占めました。ブランド収入の大部分は主要な大口顧客に依存しており、同社は契約更新や機能追加による継続課金で収益の安定化を図っています。

事業は大きく「クラウド型のAI/ARソリューションとサブスクリプション」と「ライセンスや受注開発の提供」に分かれており、現状はクラウド/サブスクに注力してライセンス比率を下げる方針です。ブランド向けにはメイクやスキンケア、シェード検出などのモジュールを導入し、導入時のセットアップやカスタマイズで一時収入を得る一方、継続課金で収益化を進め、技術投資と人材育成でクロスセル・アップセルによる成長を目指しています。

経営方針

同社は近年の急成長を基盤に、B2Cの会員基盤をさらに拡大しつつ、全体収益の安定的な成長を目指しています。過去の実績では2019年の売上高が2,290万ドルから2024年に6,020万ドルへ、年平均成長率(CAGR)で約21.3%を達成しており、B2Cのアクティブ有料会員は2022年の約60.4万件から2024年に100万件超へ増加(CAGR約28.7%)しました。同社はこの勢いを維持するために、無料ユーザーの有料化、プレミアム機能の継続利用率向上、オンライン広告による認知拡大など、具体的な会員獲得・継続施策に注力することを目指しています。

同社は研究開発と人材への重点投資を差別化の核に据えています。技術人材は約169名で従業員の約半数を占め、研究開発や生成AIの内製化に資源を割いています。ブランド向けにはモジュールやSKUごとのアップセル、グループ内クロスセル、地域別の導入拡大で1ブランド当たりの定常収入を高める方針を掲げ、消費者向けにはサブスクリプションモデルの価格帯・機能差別化で継続課金を促す具体施策を実行しています。

同社は新市場開拓と事業拡大に積極的で、B2Bではトップ20のビューティーグループ深耕やインディーブランド、ラグジュアリー・ファッション分野、さらにはメディカルスパや美容クリニックへの浸透を狙っています。ブランドポートフォリオは2022年の509社から2024年に732社へ拡大しており、外部成長策として企業買収や戦略的提携も行っており、直近ではWannabyの買収(2025年1月7日完了)などでデジタル体験領域を強化しています。B2B向けSaaSとB2C向けアプリの両輪で収益基盤の多様化を図っています。

同社は技術革新を事業継続の要と位置づけ、2023年以降に生成AIの開発を本格化させ、2024年にはAIアバター、テキスト→画像変換、AIによる画像・動画編集など機能を大幅に拡充しました。さらにクラウド基盤やハードウェア、インフラ投資を進めて性能・拡張性を高めるとともに、精度向上や個別化(パーソナライゼーション)を通じてユーザー満足度とブランド定着を高めることを目指しています。加えて、上場企業としての内部統制強化にも取り組み、会計・報告体制の整備を進めることで持続的な成長を支える体制づくりを行っています。