PENN Entertainment, Inc.PENN

時価総額
$20.1億
PER
カジノ運営とオンラインスポーツベッティング事業の大手。ESPN BETなどのデジタル賭博プラットフォームを展開。2023年2月にBarstoolを6.6億ドルで買収、2023年8月にESPNが出資。2024年6月30日時点の時価総額約29億ドル。米国を中心に展開。

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企業概況
118文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業

事業内容

PENN Entertainment, Inc.は全米でカジノや競馬場といった実店舗の運営に加え、オンラインのスポーツベッティングやオンラインカジノも展開している企業です。同社は施設でのゲームや宿泊、飲食サービスに加え、ESPNとの提携で展開するESPN BETなどのモバイル/ウェブサービスや、Barstoolを中心としたメディア資産を組み合わせて顧客接点を広げている。

主要な顧客は施設に来るギャンブル利用者や宿泊客、飲食利用者に加え、スマホやウェブで賭けるオンライン利用者、さらに広告主やスポンサーなど多様だ。収益はカジノのゲーム収益、ホテル・飲食の売上、オンラインベッティングやオンラインカジノの取扱高に伴う収益、そしてメディアや広告収入から成り立っており、スポーツの季節や大きな試合で売上が変動する点に留意している。

同社は地域別の事業区分(北東、南部、中西部、西部)とオンライン事業(インタラクティブ)を主なセグメントとして報告している。各地域ではスロットやテーブルゲーム、競馬関連、ホテル・飲食・イベント運営を行い、インタラクティブ部門ではESPN BETを含むスポーツベット、オンラインカジノ、デジタル広告やコンテンツ事業を展開している。経営は各州・地域の規制やライセンス維持、外部のデータ・決済プロバイダーへの依存といった運営リスクを管理しながら成長を図っている。

経営方針

同社は成長戦略の核として、従来の店舗型カジノ事業とデジタルのインタラクティブ事業を並行して拡大することを目指しています。具体的には、ESPNやtheScoreとの提携を通じてスポーツブック(ESPN BET/theScore BET)やiCasinoの利用者を増やし、メディア配信による誘導で売上と調整後EBITDAの拡大を図る方針です。資本政策では内部留保を成長投資に回す方針で、当面は普通株の現金配当を行わないと明言しており、株主還元の手段としては総額最大で合計1,500百万ドル($750M+$750M)の自社株買い枠を設定している点も特徴です(2024年末時点で追加枠の残高は約$749.5M)。

投資の重点分野はインタラクティブ技術、メディア資産の収益化、既存不動産の選択的な改修・拡張にあります。技術面では独自のプレイヤー管理システムやリスク/トレーディング基盤に注力し、コンテンツとしてはESPN向けの出稿やBarstoolのブランド資産を組み合わせることで差別化を図っています。実際にBarstoolの買収は買収対価の一部として約3.15億ドルの現金支出と2,442,809株の株式交付を伴い、同社ののれんは約26億ドル(2024年末でののれん総額は約$2.6B)、無形資産は約$1.5Bといった形でブランドやコンテンツに対する投資がバランスシートに反映されています。

新市場開拓や事業拡大については、メディア、リテール、オンラインといった他流通チャネルを通じた拡張、グリーンフィールド開発や既存市場での物件拡張、及び選別したM&Aを通じた成長を目指しています。同社は買収や開発案件で「適正な評価での取得」を重視しており、必要に応じて自己資金に加え借入や資本市場での調達を活用する方針です。一方で、将来の借入条件や市場環境によっては追加の資金調達が必要になるリスクもあると開示しており、投資家は資金調達の影響を注視する必要があります(ESPNへ発行したワラントは約3,180万株分という点も戦略的連携の一端です)。

技術革新への取り組みとしては、顧客体験向上と運用の安定性を両立させるため、プラットフォーム開発とサイバーセキュリティに重点投資しています。具体策としては、24時間体制の脅威監視や多層的なシステム防御、第三者リスク管理、定期的な脆弱性評価とインシデント対応訓練を実施しており、これらはオンライン決済やジオロケーション検証といった運用上の重要プロセスの信頼性確保に直結しています。結果として、同社はメディア資産とテクノロジーを組み合わせたクロスセルで収益性を高めることを目指しています。