Ponce Financial Group, Inc.PDLB

時価総額
$4.2億
PER
小売預金を集め、商業・住宅ローン等を行う地域金融機関の有力企業。混用物件中心の多棟住宅ローン、SBAローン、モーゲージ販売を展開。2022年6月の米財務省による2.25億ドルのECIP出資。ニューヨーク州・ニュージャージー州中心、フロリダにも展開。

事業内容

Ponce Financial Group, Inc.はニューヨークを拠点とする地域金融持株会社で、地域密着型の銀行業務を行っています。同社は預金を集め、その資金を住宅・商業向けローンや建設ローン、SBAローン、モーゲージ担保証券や国債・社債などに投資して収益を上げています。

主要な顧客は少数派や移民を含む個人、地元の中小企業、住宅所有者や不動産開発者など地域コミュニティに根差した層です。同社の収益は主に貸出と有価証券から得られる利ざや(ネット利息収入)に依存し、住宅ローンの売却や手数料、サービス料、助成金などによる非金利収入も重要な収入源になっています。

事業面では貸出の組成・保有、預金の取り込み、住宅ローンの組成・販売を中核に展開しています。貸出は多世帯住宅や混在型の一戸建て・テナント併用物件、商業用不動産が中心で、建設ローンやSBAローン、一部の消費者向けローンも扱い、有価証券ポートフォリオで金利リスクを管理しながら支店網を通じて地域の資金需要に応えています。

経営方針

同社は資産・貸出・預金の拡大を通じて純利息収入の成長を図ることを成長戦略の中核に据えています。外部資本として米国財務省の緊急資本投資プログラム(ECIP)で発行した優先株225,000株を通じて約2.25億ドルの資金を確保しており、この資金を住宅・中小企業向けなどの貸出に振り向けることで収益基盤を強化する計画です。同社はECIPの要件により、16四半期で合計起点貸出の平均60%が「ディープインパクト融資」となるか、24四半期で85%が「適格融資」となることを満たすことを目指しており、最短で2026年6月30日までに閾値達成を狙っています(現状は9四半期連続で両条件を満たしていると報告済み)。また、投資家指標としては2024年6月28日時点の非関連株主保有時価総額が約1.95億ドル、発行済普通株式数が2025年3月12日時点で23,966,191株である点も、資本面の把握に役立ちます。

同社は重点的に複数世帯向けの住宅ローン、混合用途の一~四戸物件、商業用不動産、建設ローン、SBAローンおよびモーゲージ担保証券などへ投資することで差別化を図っています。特にマイノリティや移民コミュニティを歴史的な強みと位置づけ、地域密着の審査と対人関係を活かした貸出で大手と異なるポジショニングをとっています。人材投資の一環として長期インセンティブ制度を運用しており、ストックベースの報酬費用は2024年に約210万ドル、2023年に約180万ドル計上されており、優秀な営業・審査人材の確保・定着を通じて競争力を高めようとしています。

新市場の開拓・事業拡大では、ニューヨーク大都市圏を中心とする支店網を基盤に、2024年にフロリダ州コーラルゲーブルズ(1600 Ponce de Leon Blvd.)の賃貸拠点を取得するなど、地理的な拡大にも着手しています。さらにECIPでの条件達成は将来の資本構成見直し(優先株の買戻しオプション行使など)に直結するため、地域の低所得・未整備市場での貸出拡大は資本政策面でも重要な戦略です。同社は新規市場での預金獲得と貸出拡大によって規模の経済を追求する一方、規制資本やコンプライアンスの制約にも配慮しながら段階的な拡大を進めています。

技術革新への取り組みは、サイバーセキュリティと報告体制の強化を優先しています。同社はサイバー関連対策をリスク管理に統合し、外部のサイバー専門チームやテストベンダーを活用して防御体制を強化しています。また上場会社としての財務報告要件に対応するため会計・管理システムの整備や社内統制の強化に投資しており、将来的には業務効率化や顧客接点のデジタル化を進めるため、フィンテック企業への少数出資やデータ処理・ローン起案システムへの支出も続ける方針です。これらにより、同社は地域密着型の関係金融と最新のリスク管理・運営基盤を両立させることを目指しています。