PROCORE TECHNOLOGIES, INC.PCOR

時価総額
$111.1億
PER
クラウド型建設管理ソフトの世界最大手。プロジェクト管理、BIM、AI搭載のCopilot・Insightsを備えたプラットフォームを展開。2023年のUnearth買収、2024年のIntelliwave買収でのM&A実績。米国発で世界展開、App Marketplaceは500以上の連携を持つ企業。

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企業概況
102文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Procore Technologies, Inc.は建設業界向けのクラウド型施工管理プラットフォームを提供しています。同社は現場と事務所の関係者をつなぎ、図面や工程、報告書などの重要情報の共有やコミュニケーションを効率化して業務のデジタル化を進めています。

顧客はオーナー、ゼネコン、専門工事会社など幅広く、小規模事業者から大手企業まで利用しています。同社の収益は主にソフトの利用契約(サブスクリプション)で、利用する製品の組み合わせやプラットフォーム上で扱う年間工事額に応じた料金体系を採用し、年契約や複数年契約、プール型など柔軟なプランを用意しています。

事業は大きく着工前の準備、プロジェクト遂行、資源管理、財務管理の四分野に分かれており、各分野のツールでワークフローを自動化し可視化を支援しています。同社は現場でのモバイル利用や多数の外部システムとの統合を重視し、蓄積したデータを分析して進捗やリスクの把握、設計モデルの連携や書類管理などに役立てています。

経営方針

同社は「建設業界のグローバルなプラットフォームになる」ことを成長目標に掲げ、業界の標準的な“システム・オブ・レコード”を目指しています。顧客基盤は着実に拡大しており、プラットフォーム上の総顧客数は2024年末で17,088社、年間経常収益(ARR)で10万ドル超の顧客は2,333社(総ARRの63%を占め)、100万ドル超の顧客も86社(同17%)と高額顧客の比率が増加しています。同社は有機的な収益成長の推進に加え、選択的な買収や株主還元(取締役会は2024年10月に最大3億ドルの自社株買い枠を承認)を併せたバランスの取れた資本配分を進める方針です。

重点投資分野としては、営業・マーケティングと顧客成功への投資を拡大し、2024年7月からは地域別のゼネラルマネージャー制へとGTM(営業運営)モデルを進化させています。これに伴い、営業人員やプロダクト/技術スペシャリストを増員して顧客への提案力を高める計画で、短期的には投資による業績の変動を想定しています。技術面ではプラットフォーム独自の差別化を重視しており、ユーザー無制限の課金モデルや500件を超える外部連携、米国で発行済み80件の特許などを通じて「業界に特化した深い機能」と「ネットワーク効果」を武器に競合との差別化を図っています。2024年の資本化したソフトウェア開発費は約4,950万ドルでした。

新市場開拓と事業拡大は国際展開と顧客の深耕が柱です。同社は米国のほかカナダ、オーストラリア、英国、UAE、アイルランドに拠点を持ち、各国での営業・顧客体験チームの強化や新規進出を進めています。また、現ユーザーの協力者(コラボレーター)層を顧客化して収益化を図る戦略や、App Marketplace経由でのタックイン型買収(例:2024年のIntelliwave、2023年のUnearth)を通じて製品ロードマップを加速する方針です。資金面では運転資金を活用した自社株買い枠を設定すると同時に、投資有価証券の売買や償還を含む資産運用も行っており、成長投資と株主還元の両立を目指しています。

技術革新への取り組みでは、AIを活用した会話型の支援機能(Copilot)やプロジェクトの傾向とリスクを示すInsights、3Dモデル連携(BIM)や解析機能などを中心にプラットフォームの高度化を進めています。これらに伴うクラウド基盤、可用性、セキュリティ強化にも投資しており、研究開発と買収で機能を補完することで長期的な競争優位を築こうとしています。一方で同社は過去に損失を計上しており、2024年の純損失は1億600万ドル、累積欠損は約12億ドルに達しているため、これらの投資が当面は収益性を圧迫するリスクも明確に認識しています。