POTLATCHDELTIC CORPPCH

時価総額
$30.7億
PER
木材・製材と森林管理、不動産開発の大手。約12億ボードフィートの製材能力と1.5億平方フィートの合板工場、4,800エーカーの大規模開発を展開。2022年9月の同業買収で事業基盤を拡大。米国9州を中心に展開。

事業内容

PotlatchDeltic Corporationは、米国を中心に約210万エーカーの林地を所有・管理し、木材の伐採・販売、製材・合板の製造、そして住宅・商業用地の開発を主力とする総合的な林業・不動産事業を展開しています。林地で育てた木材は丸太や伐採権として市場に出し、自社の工場で製材や合板に加工しています。

同社の主な顧客は米国内の住宅建設業者やリフォーム市場のほか、パルプ・紙やバイオエネルギー関連企業などで、需要は季節や建設活動に左右されます。収益は伐採した木材の販売、製材品や残材の販売、土地の売却や開発から得ており、林地部門が製造部門へ木材を市場価格で供給することで部門間の収入が形成されています。

事業は「Timberlands」「Wood Products」「Real Estate」の三つのセグメントに分かれており、Timberlandsは丸太や伐採契約、土地の売買を担当しています。Wood Productsは6つの製材所と1つの合板工場で製材・合板・残材を生産・販売し、Real Estateは住宅地や商業地の開発・分譲や非中核林地の高付加価値化を進めています。

経営方針

同社は中長期的に安定したキャッシュ創出と株主還元の両立を目指しています。具体的には、2.1百万エーカーの保有林地を基盤に、木材販売・製材・不動産開発の三本柱で成長を図っており、2024年6月30日時点の非関連株主保有時価総額は約30.76億ドル、発行済株式数は約7,878万株(2025年2月10日)です。配当政策も継続しており、2024年は1株当たり1.80ドルの配当を実施しており、配当総額は約1.42億ドルとなっています。また、株式の自社株買いも積極的で、2022年に設定した最大2億ドルの買戻し枠のうち、2024年末時点で約9,000万ドル分の余裕があり、同年Q4には平均約42.14ドルで約18.0万株を買い戻しています。

重点投資分野は木材製造設備の効率化と土地の高付加価値化にあります。同社はアメリカ国内で上位クラスの製材能力を持ち、製材能力は約12億ボードフィート、工場の任意の改修投資は15%超のリターンを目標に判断しています。差別化戦略としては自社の林地からの安定供給によるコスト優位と、約13万5千エーカーの「非中核」林地を段階的に売却・用途転換して土地の価値を引き出す方針を掲げています。これにより、原料供給と製品販売の間で生じる付加価値の取り込みを強め、景気循環への耐性を高めようとしています。

事業拡大の計画としては、不動産分野での開発拡大と新たな自然気候ソリューション市場への参入を目指しています。具体例としては、リトルロック近郊の約4,800エーカーの大規模マスタープラン開発(Chenal Valley)があり、今後の宅地・商業地開発での売却収益を見込んでいます。さらに森林炭素クレジットや再生可能エネルギー用地(太陽光発電など)、バイオ燃料やバイオプラスチックなど木質原料の新用途を模索しており、これらを通じて森林資産の多角的な収益化を図ることを目標としています。

技術革新とリスク管理では、製造現場の近代化と情報セキュリティ強化の両面で投資を進めています。アーカンソー州Waldo製材所の拡張・近代化プロジェクトでは生産能力向上とコスト削減を期待しており、またサイバー対策では外部専門家による侵入テストやネットワーク監視、従業員向けの年次訓練など、NIST相当の基準を参照した体制を整備しています。財務面では確定給付年金の資金状況(2024年末で約85.2%の資金調達率)などに留意しつつ、設備投資と土地売却、株主還元のバランスで長期成長を実現しようとしています。