Paycom Software, Inc.PAYC

時価総額
$96.3億
PER
人事・給与(HCM)ソフトの大手。従業員自己処理型の給与自動化技術Betiを含むクラウドHCMを展開。2024年に15億ドルの自社株買い枠拡大、2025年中頃稼働予定のアリゾナ第4データセンター取得。米国拠点、Global HCMは15言語で190カ国以上対応。

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企業概況
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業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Paycom Software, Inc. はクラウド型の給与・人事管理ソフトを開発・提供する企業です。主力サービスは給与計算を軸に採用から評価、勤怠、福利厚生まで一元管理できる総合的な人事給与(HCM)ソリューションで、従業員が自ら給与処理できる「Beti」などのセルフサービス機能を備えています。

同社の顧客は中小企業から大企業まで幅広く、約37,500クライアントを抱え過去1年間で扱った従業員数は700万人超にのぼります。収益は主に顧客からの定期的な利用料と従業員数に応じた手数料で成り立ち、給与機能の利用が他のアプリ導入の前提となるため継続的な売上基盤が構築されています。

事業は給与、採用管理、タレントマネジメント、人事管理、勤怠といった製品ラインで構成され、Global HCMとして多言語・多国対応や特定国でのネイティブな給与処理など国際展開も進めています。開発は社内で行い、月次で機能を更新するとともに専任の導入・顧客担当チームが手厚いオンボーディングとサポートを行い、既存顧客への追加販売と利用率向上を重視しています。

経営方針

同社は売上と顧客一社当たりの収益の拡大を通じて成長を続けることを目指しています。実際、総収入は2021年から2024年までの年平均成長率(CAGR)で約22%成長しており、今後も新規顧客の獲得と既存顧客への追加アプリ提供で成長を加速させる計画です。目標とする顧客規模は従業員50人から1万人以上まで幅広く設定されていますが、特に1,000人以上の大口顧客を重視しており、従業員単位で課金するビジネスモデルにより顧客の規模拡大がそのまま収益増につながる戦略です。資本配分面では、2026年8月15日までに総額1.5億ドル(注:文書では$1.5 billion)を上限とする自社株買い枠を整備し、2024年末時点で約14.8億ドルが残っているほか、四半期配当を継続して支払うなど株主還元も並行して進めています。

同社は営業力・顧客対応・製品開発への投資を成長の柱と位置づけています。新規獲得は主に自社の営業組織が担い、導入後は13名の移行専門チームや専任のカスタマーリレーション担当者(CRR)が一対一で顧客をサポートすることで顧客満足と追加導入を促しています。差別化の中心は自動化による効率化で、従業員自身が給与処理を行える「Beti(ベティ)」をはじめとする社員向け自己処理機能により、人手によるミスや手作業を削減することを目指しています。現在の顧客数は約37,500社、保存する従業員データは700万人超と規模も大きく、これら顧客基盤を活かして非給与系アプリの採用を促し収益構成を多様化しています。

海外展開と販売網の拡大にも明確な計画があります。同社はGlobal HCMを通じて15言語に対応し190か国以上での利用を可能にしており、カナダ、メキシコ、英国、アイルランドでのネイティブ給与機能を提供中で、さらに他国への展開を予定しています。大企業やグローバル組織を狙う営業は米国内の拠点増設を通じて進められ、出店候補地では既存の優秀な営業マネージャーを移籍させてチームを立ち上げ、通常は新拠点が成熟するまで約24か月を見込む運営方針です。インフラ面でも信頼性確保を重視しており、2025年中頃稼働予定のアリゾナにおける第4データセンターを購入するなど体制を強化しています。

技術革新は同社の継続投資領域であり、開発は全て社内で行い月次での定期アップデートを実施する体制を整えています。プロダクトマネジャーが顧客の声や利用状況をもとに機能優先度を決め、品質保証チームの検証を経て導入する流れを採っています。自動化の延長としてAIや機械学習の活用は検討・導入を進める一方で、リソース投下や潜在的な社会的影響にも注意を払っており、セキュリティ面では包括的な保護体制と環境監視を備えたデータセンター運営により顧客データの機密性・可用性を維持することを重視しています。