OXBRIDGE RE HOLDINGS LtdOXBR

時価総額
$967.6万
PER
担保付きの米国ガルフコースト向け損害再保険事業の新興企業。トークン化再保険証券の発行(2023年DeltaCat、2024年Epsilon、2025年Zeta/Eta)を展開。2023年の事業結合とJet.AIへの出資。米国中心に展開。

事業内容

OXBRIDGE RE HOLDINGS Ltdはケイマン諸島に拠点を置く特化型の損害再保険会社です。同社は主に米国メキシコ湾岸地域(特にフロリダ州)の損害保険会社向けに、完全担保型の再保険契約を引き受け、発生頻度は中程度だが一度発生すると影響が大きいリスクに重点を置いています。近年は子会社を通じて、再保険債に対応する参加型トークンなどブロックチェーンを用いた商品開発も進めています。

同社の主要顧客は地域の損害保険会社や保険ブローカーで、保険料収入が基盤の収益源となっています。再保険契約は契約時に資産で担保する仕組みが多く、Oxbridge Re NSが発行する参加ノートの販売やSurancePlusによるトークン販売を通じた資金調達と分配が収益構造に組み込まれています。

同社は報告上は一つの事業セグメント(損害再保険)で運営し、主な製品ラインは担保付きのカタストロフィー保険、サイドカー形式の参加ノート、そしてトークン化した参加証(DeltaCat、EpsilonCat、ZetaCat、EtaCatなど)です。トークン化事業は他の実物資産のトークン化やWeb3関連商品への展開を見据えた成長領域と位置づけ、選別的な引受と慎重なリスク管理を重視しています。

経営方針

同社は長期的に「株主資本に対する魅力的なリスク調整後リターン」を目指しています。短期の四半期業績の平滑化よりも、1株当たり簿価(book value)を着実に成長させることを重視しており、そのためにデータに基づく厳格な引受(アンダーライティング)方針を採用しています。引受リスクは主に米国のガルフコースト地域、特にフロリダ州の中頻度・高重大リスクに集中しており、すべて担保付き契約で引受けることで損失限定条項を設定し、単年で資本を全部失うリスクを避けるために総資本の一部のみを年ごとにリスクに晒す方針を取っています。また、資本調達では2024年にATMで約1.17百万ドルを調達し、2025年2月の引受では約3.0百万ドルの公募・私募を行うなど、必要資金を市場から段階的に確保しています。

重点投資分野は伝統的な再保険引受と、それを担保する参加ノート(participating notes)を通じたサイドカー方式の資本供給です。同社はOxbridge Re NSを通じて第三者投資家から参加ノートを発行し、その資金を再保険契約の担保に充てる仕組みで差別化しています。引受の差別化策としては、損失を担保資産の範囲内に限定する契約設計、データ分析に基づく選別引受、そして需要や供給に応じた機動的な出資配分を掲げています。さらに、子会社SurancePlusを通じて再保険の持分をデジタル証券化(トークン化)する事業を展開しており、DeltaCatやEpsilonCatなどのシリーズで合計数百万ドル規模のプライベートプレースメントを実行しています(例:DeltaCatで約2.45百万ドル、EpsilonCatで約2.88百万ドル)。

新市場開拓と事業拡大については、同社は既存のカタストロフィー再保険に加え、引受手法やパートナーシップの拡大を継続的に検討しています。検討対象には、クォータシェア契約、ジョイントベンチャー、更新権利取引、他の保険・再保険会社の買収やスピンオフなどが含まれます。トークン化事業はその一環で、投資家向けに1口当たり10ドルで参加シェアを販売し、一定の優先利回り(投資額+20%)を支払った後に超過分の80%をトークン保有者に配分する収益分配スキームを採用しており、これを通じて第三者資本の導入と市場拡大を図っています。経営体制は小規模であり(上級管理職が中心)、資本効率と機動的な資金調達を両立することで成長機会をとらえようとしています。

技術革新にはトークン化を中核に据え、ブロックチェーン技術を用いた「分割された再保険持分」の販売や、将来的なリアルワールド資産のデジタル化を目指しています。同社はこの分野での先行経験を事業基盤としつつ、同時にサイバーセキュリティとリスク管理にも注力しています。取締役会レベルでサイバーリスクを監督し、最高情報責任者や最高経営責任者らを含むインシデント対応チーム(CIRT)を整備、従業員向けの定期的な啓発訓練や外部コンサルの活用による脆弱性評価を実施しています。内部統制についても2024年12月31日時点で管理側評価は有効と結論付けられており、技術とガバナンスを両輪で強化する方針です。