Otter Tail CorpOTTR

時価総額
$35.5億
PER
電力事業と製造・プラスチックス事業の有力企業。電力供給、PVCパイプや園芸用コンテナ、顧客仕様の包装品と受託金属加工を展開。2024年12月にジョージア州で約162,000平方フィートの製造・倉庫拡張を完了。中西部と南東部を中心に米国内で展開。

事業内容

Otter Tail Corpは、地域電力の発電・供給と工業製造を中心に事業を展開する企業です。 同社は電力の小売・発電のほか、金属加工やプラスチック成形を通じて各種の工業製品や部材を提供しています。

主要な顧客は米国内の法人が中心で、製造部門ではレクリエーショナル・ビークル(RV)や設備メーカーといった大手顧客を抱え、上位2社で製造部門の売上の約36%を占めています。 同社のプラスチック製品は園芸向けディストリビューターや医療・ライフサイエンス、工業向けなど幅広い顧客に販売され、園芸製品は流通経路、パッケージ製品は顧客指定の直販が収益の柱になっています。

事業セグメントは大きく電力、製造、プラスチックの三本柱で構成されています。 電力部門は発電所の運営と小売供給を担い、製造部門は板金加工や機械加工、組立といった受託製造を行い、プラスチック部門はPVC配管や園芸容器、医療・工業向け成形パッケージなどの製品ラインを持っています。

経営方針

同社は中長期的に事業ごとの有機的成長を実現することを成長戦略の中心に据えています。具体的には、電力(Electric)、製造(Manufacturing)、プラスチック(Plastics)の三事業での投資を通じて収益基盤を拡大し、業績目標の達成を目指しています。同社は2024年の営業活動によるキャッシュ創出が約4.53億ドル(452,731千ドル)であり、同年の設備投資は約3.59億ドル(358,650千ドル)だったと報告しており、これらの内外資本を活用して成長投資を継続する方針です。プラスチック事業については、2024年にセグメント売上の約35%を占めるまで成長したものの、業界環境は2027年までに徐々に正常化すると見込んでおり、正常化後は収益とキャッシュフローが現状から落ち着くことを想定しています。同社は短期の利益目的の買収は行わず、長期的な視点での買収は検討する一方、戦略やリスクに合わない事業は売却する方針です。

重点投資分野として同社はまず電力、製造、プラスチックの強化を挙げており、それぞれで差別化を図る方針です。製造部門では品質、コスト効率、技術革新、顧客対応力で競合に対抗する考えで、実際に2024年12月にはジョージア州で約162,000平方フィートの自社製造・倉庫スペースを完成させ、米国南東部の顧客需要に対応する増強を行いました。プラスチック事業はPVCパイプの生産を中心にノースダコタやアリゾナの工場を稼働させ、2024年のセグメント売上寄与は35%でしたが、二社でセグメント売上の約36%を占めるなど顧客集中リスクも抱えています。さらに、同社は事業を評価する基準として「純利益の一定水準と投下資本利益率が資本コストを上回ること」「競合との差別化と持続的なコスト優位性」「安定成長業界で経済サイクルに適応できること」「強い経営陣の存在」を掲げています。

新市場開拓や事業拡大では、顧客基盤の地理的・用途別拡大と製品ポートフォリオの拡充を進めています。具体的には園芸・医療・工業・電子機器など多様な最終市場へプラスチック製品を供給し、製造部門では顧客の製造拠点移転に合わせて地域供給能力を高めるための設備増設を行っています。また、事業ポートフォリオの見直しを継続して行い、信用指標の改善と追加の現金創出を図ることで、将来の有望な有機成長機会や慎重な買収に備える計画です。加えて、原材料価格の変動管理やコスト転嫁の仕組みを強化することで、マージンの安定化にも取り組んでいます。

技術革新への取り組みでは、製品開発と生産効率の向上に加えて情報・サイバーセキュリティへの投資を重視しています。同社は新製品やサービスの開発、業務効率化によるコスト低減を成長の柱と位置づけるとともに、CIS(Center for Information Security)ベースの統制を用いたサイバー対策と情報ガバナンス体制を採用して重要インフラと顧客データの保護に努めています。人的資本にも力を入れており、安全性や従業員育成を重視する文化を持ち、例えば総記録傷害率(TRIR)は2024年に1.64に改善、休業発生率は0.16に低下しており、長期的な競争力維持のための人材確保・報酬制度(2023年ストックインセンティブプランで最大約979,891株の付与枠など)も整備しています。