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ORMAT TECHNOLOGIES, INC.ORA
事業内容
ORMAT TECHNOLOGIES, INC.は地熱発電を中核とする垂直統合型の再生可能エネルギー企業です。同社は地熱発電所の開発・建設・保有・運営を行い、回収熱発電や太陽光、蓄電などの分野にも展開して発電した電力を市場や顧客に販売しています。
同社の主な顧客は政府系や公共・民間の電力会社で、長期の電力購入契約(PPA)に基づく安定した収入が中心です。加えて、発電設備の販売や設計・調達・建設(EPC)契約からの収益、蓄電池事業による系統向けの容量・補助サービスでの売上など複数の収益源を持っています。
同社は事業を大きく電力、プロダクト、エネルギー貯蔵の三つのセグメントで展開しています。電力セグメントでは地熱・太陽光・回収熱を用いた発電所を運営して電力を販売し、プロダクトセグメントでは発電ユニットや関連機器の設計・製造・販売とEPCサービスを提供、エネルギー貯蔵セグメントでは系統接続の蓄電池施設を保有・運営して容量や補助サービスを供給しています。
経営方針
同社は地熱をコアに、回収エネルギー、太陽光(ソーラPV)と蓄電を組み合わせた事業ポートフォリオで「世界的な再生可能エネルギーのリーダー」を目指しています。具体的にはプロダクト部門で今後2年で主に認識される受注残高約3.13億ドルを抱え、2024年の製品売上は約1.397億ドルにのぼっています。加えて、2024〜2025年にかけて取得や稼働拡大を継続しており、エンネル由来の資産買収に約2.746億ドルを投じて発電容量を増強しました。株主還元面では、当面の方針として年間利益の少なくとも20%を四半期配当に回すことを目標にしています。
同社は重点投資分野として既存の地熱発電に加え、グリッド直結の前段(IFM)蓄電池(Battery Energy Storage System、以下BESS)やソーラPV、回収エネルギーを挙げています。差別化戦略は垂直統合にあり、発電設備の設計・製造・EPC(建設)・運転保守までを自社で担うことで、建設コストと運転コストの低減、納入後の稼働改善による収益性向上を狙っています。実績として2024年は合計で41MWの地熱・太陽光設備を商業運転開始し、BESSではカリフォルニアとニュージャージーで合計120MW/360MWhを稼働させるなど、ハード面の経験を強みにしています。
新市場開拓と事業拡大はM&Aと入札の両面で進めています。最近ではイスラエルの入札で15年のトーリング契約を2件獲得し、合計で約300MW/1,200MWhのエネルギー貯蔵施設を受注しました。地理的には米国内のネバダやカリフォルニアだけでなく、インドネシア、エチオピア、中央アメリカなどで権益や開発候補を保有しており、成長は自社開発と戦略的買収の組み合わせで行う計画です。一方で新規分野には競合や資金調達の課題が伴うため、プロジェクトファイナンスの活用や社債・転換社債の発行など多様な資金手段で成長資金を確保する方針です。
技術革新面では、同社は効率向上とコスト低減を目標に研究開発へ投資しています。具体的には地熱向けのバイナリー強化サイクルや新しい掘削・熱交換技術、さらに拡張地熱(EGS)やソーラ+蓄電のハイブリッド化、BESSの性能改善に注力しています。またAIを活用した運転最適化や、外部ベンチャー投資による先端技術の取り込みも進め、製品部門での機器販売やEPCノウハウと組み合わせることで市場での競争優位を高めようとしています。