OOMA INCOOMA

時価総額
$2.9億
PER
クラウド型通信サービスの大手。SaaSベースでビジネス・住宅向け通話、コラボ機能とオンプレ機器を統合したプラットフォームを展開。2023年10月に2600Hzを約3220万ドルで買収。米国・カナダ中心に展開。

事業内容

Ooma Inc.は、クラウドを基盤にした音声通話やビジネス向けコラボレーションサービスを手掛ける企業です。同社は電話、メッセージ、仮想受付、ビデオ会議などを一つのプラットフォームで提供し、専用端末やデスクトップ・モバイルアプリで利用できる一体型の通信環境を提供しています。

主要な顧客は中小企業を中心に大企業や一般家庭、再販業者や通信事業者のパートナーなど幅広く、販路は直販、家電量販店やオンライン小売、そして通信事業者との提携を通じています。同社の収益は主に月額のサブスクリプションが中心で、端末販売や導入サービスなどの一時的な売上も補完しています。

事業は法人向けサービスと家庭向けサービスに分かれ、さらにクラウド通話プラットフォームや外部事業者向けの通話・コンタクトセンター向けソリューションも展開しています。同社はクラウド基盤と端末を組み合わせた製品ラインを持ち、従来の電話回線の置き換え機器(例:AirDial)などを製造委託で調達し、複数のデータセンターと海外の製造拠点で運用管理しています。

経営方針

同社は主にサブスクリプション中心の通信プラットフォームを伸ばすことで中長期的な収益拡大を目指しています。直近の参考値として、2600Hzの買収を含めた場合のプロフォーマベースでの売上高は、2024会計年度で約2億4,370万ドル、2023会計年度で約2億2,650万ドルとなっており(買収は2023年10月実施、取得対価は純額で約3,220万ドル)、定期収入の拡大によって安定的なキャッシュフローを確保することを成長の柱に据えています。発行済株式数は2025年3月末時点で約2,760万株、市場評価額の目安は2024年7月末時点で約2.56億ドルであり、投資家に対してはサブスク基盤のARPU向上や解約率低下を通じた着実な成長を示すことが期待されています。

同社は研究開発と買収を通じた差別化に重点投資しています。ハードとソフトを一体で設計する社内エンジニアリング体制を活かし、端末(Ooma TeloやAirDial)からクラウド基盤、モバイルアプリまでを統合して独自機能を提供することで、品質や操作性での競争優位を作ろうとしています。具体的施策としては、2023年に実行した2600Hz買収で約1,820万ドルの現金を取得しつつ、取得無形資産として約2,120万ドル、のれん約1,440万ドルを計上してCPaaS/CCaaS領域の技術・顧客基盤を取り込みました。またカスタマーサポートや物流面でも、米国内の自社拠点(ニューアーク等)と第三者委託(フィリピンのコールセンター)を組み合わせて顧客対応力を維持しています。

新市場開拓では企業向けの統合コミュニケーションとPOTS(在来電話回線)代替の領域を強化しています。流通チャネルとしてはAmazon、Best Buy、Costco、Walmartなどの小売りや、T‑Mobileのような戦略的提携先を通じた拡販を継続しつつ、2600Hzを通じて再販業者や通信事業者向けのソリューション展開を加速させる計画です。海外展開は限定的ながら、北米に加えヨーロッパ、アフリカ、アジア太平洋地域でEquinix等のデータセンターを利用しており、まずは既存プラットフォームを活用したサービスの国際提供で市場拡大を図る方針です。

技術革新への取り組みでは、同社はクラウド基盤とエッジ機器の連携を深め、新機能の迅速な導入と運用コスト低減を目指しています。エンジニアリングはサンフランシスコ湾岸を中心にハード、組込みソフト、ネットワーク、モバイルアプリなど幅広い領域で人材を投入しており、買収した技術は想定償却期間(開発済み技術で7年)に基づき段階的に組み込まれています。具体的な製品面では、メッセージングやインテリジェントな自動応答、ビデオ会議といった企業向け機能を強化し、住宅向けには高音質通話やモバイル統合といった付加価値サービスを通じて顧客維持と収益拡大を図っています。