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- BeOne Medicines Ltd.
BeOne Medicines Ltd.ONC
事業内容
BeOne Medicines Ltd.は、がん領域を中心に新しい医薬品の研究・開発から製造・商業化までを一体的に行うバイオ医薬品企業です。同社は自社で大規模な臨床チームを擁し、臨床試験を内製化することで開発コストと期間の効率化を図り、既に承認を得た薬剤を基盤に事業展開しています。
主な顧客は病院や医師、患者に加え、国や民間保険といった第三者支払者で、製品販売が収益の中心です。同社はさらに大手製薬企業との共同開発やライセンス契約からの協業収入や契約一時金を得ることで収益の多様化を図っています。
事業は研究開発、臨床運営、製造・商業化のセグメントで構成されています。研究面ではタンパク質分解や二重特異性抗体など複数の技術プラットフォームを用いた新薬創出に注力し、血液がん領域のフランチャイズを強化することでパイプラインの価値最大化を目指しています。同社は中国や米国などに研究・製造拠点と世界各地の臨床ネットワークを持ち、グローバルに事業を展開しています。
経営方針
同社は近年の商業化と研究開発の両輪で成長を加速させ、持続的な血液腫瘍(ヘマトロジー)フランチャイズの確立を目指しています。売上高は2022年の約14億ドルから2024年には約38.1億ドルへ増加しており、2024年6月時点の非関係株主保有時価総額は約87億ドルと報告されています。従業員は年々拡大しており、2024年末で約1万1,000人、臨床チームは約3,700人、研究人員は1,100人超を擁していることから、同社は規模の拡大を数値でも示しています。
重点投資分野はがん、特に血液腫瘍領域の深耕で、主力製品BRUKINSAを中心としたライフサイクル管理と、自社パイプライン(例:sonrotoclax、BTK‑CDAC)による次世代の治療選択肢の創出を目指しています。差別化の施策としては、大規模な多地域臨床試験を自前のグローバル臨床チームで主導し、外部の委託機関(CRO)への依存を低く保つことでコスト効率とスピードを確保する戦略を採っています。また、過去の共同開発やライセンス契約から約15億ドルの協業支払いを獲得しており、外部資源を取り込む資金的基盤も整えています。
新市場開拓と事業拡大では、地域ごとの商業化と製造体制の強化を掲げています。2024年の地域別売上は米国約19.6億ドル、中国約14.1億ドル、欧州約3.6億ドルと既にグローバル展開が進んでおり、商業力の拡充に向けた人員増強や販路構築を継続しています。製造面では広州・蘇州の能力増強や、ニュージャージーHopewellでの製造・臨床R&D拠点建設を進めており、供給安定化と自給自足化を具体的施策として実行しています。加えて、持続的な企業体制構築の一環として本社の移転(2025年にスイスへredomicile予定)や多国籍取引所上場の運営を行っています。
技術革新への取り組みとしては、多様な研究プラットフォームに継続投資しています。触媒的に標的タンパク質を分解する仕組み(CDAC)をはじめ、二つ以上の標的に同時に作用する抗体や抗体薬物複合体などの技術を用い、差別化された作用機序で「より効果の高い・耐性が出にくい」候補薬の創出を目指しています。具体的には社内でのシリアルな創薬体制と臨床運営により、早期に有効性の仮説検証(proof‑of‑concept)を行い、市場投入までのタイムライン短縮と費用対効果の改善を図ることを重視しています。