ONE LIBERTY PROPERTIES INCOLP

時価総額
$4.6億
PER
シングルテナント向け商業用不動産の有力企業。長期ネットリース中心の産業用物件保有・運用を展開。2025年1月16日に49.0百万ドルで2物件買収、2025年2月6日に13.3百万ドルで物件買収、2024年に11物件を売却。米国全域で展開。

事業内容

ONE LIBERTY PROPERTIES INCは、米国の商業用不動産を保有・運用するリートで、単独テナントの物件を中心に長期のネットリースで賃料収入を得ています。同社は特に工業用(物流・倉庫など)物件を重視し、契約に基づく定期的な賃料増額や消費者物価指数連動の仕組みで収入の予測可能性を高めています。

主要な顧客は流通・物流業者や小売、フィットネス施設、飲食店などのテナント企業で、収益は基本的に長期賃貸による安定的な賃料収入が中心です。同社は賃料収入に加え、物件の売却や抵当付き借入を活用して資金を調達し、そのキャッシュを配当や新規物件取得に回しています。

事業セグメントは主に工業用物件と小売・サービス系物件(店舗、レストラン、フィットネス等)で、工業用がポートフォリオの中心です。同社は共同投資や関連会社との連携で物件取得・管理を行い、取得時には立地や人口動態、長期賃貸の有無を重視して投資判断をしています。保有中は賃料収入の安定化と資産価値の向上を目指し、市況やリスクを踏まえて適時売却も行います。

経営方針

同社は株主価値の向上を成長戦略の最優先に据えています。具体的には、戦略的かつ機会重視の物件取得、保有物件の管理・売却による資本の回転、そして有利な借入による資金調達を組み合わせることで収益と配当の安定的拡大を目指しています。直近の見込みでは、2025年の契約上の賃料収入は新規取得を織り込んで約7,730万ドルになると見積もられており、同社は流動性の確保(2025年2月28日時点で約1.101億ドルの利用可能資金、うち現金約1,010万ドル、信用枠は最大1億ドル未使用)を背景に配当維持・増額を図っています。2024年の年間配当は1株当たり合計1.80ドルで、2025年3月に四半期配当0.45ドル(総額約970万ドル)を宣言しています。

同社は一棟貸しの工業用(インダストリアル)物件を中心に投資を集中させ、長期の「ネットリース」(テナントが固定資産税・保険・日常の維持費を負担する形)と賃料の定期増額や消費者物価指数に連動した改定を重視することで差別化を図っています。こうした構造は賃料収入の予測可能性を高め、長期固定金利のモーゲージ取得を容易にするため金利・再調達リスクを抑制する効果があります。実際に2025年初頭にはアラバマ州の2物件を計4,900万ドルで取得(合計約371,586平方フィート、2025年の契約賃料見込み約300万ドル、利息費用見込み約170万ドル)するなど、クラスAの物流・流通向け物件取得を継続しています(カンザス州取得:1,330万ドルで約80万ドル賃料、利息約41.3万ドル、アイオワ州契約物件:2,600万ドルで約150万ドル賃料、利息約80万ドルの見込み)。

同社は新市場開拓や事業拡大に際しては全米を対象に機会を探り、保有期間は長期を基本としつつも価値実現やリスク回避の機会があれば売却を行う柔軟性を持っています。実際に2024年は11物件を売却して純収入約3,820万ドルを確保し、これを運転資金や追加取得に充当しました。借入面では2025年以降に到来する一連の借入償還(2025~2027年の総償還予定は約7,944.4万ドル、償却分を含む短期支払総額は約1.11565億ドル)に対し、運転資金、既存の信用枠、再融資や物件売却を組み合わせて対応し、資本アクセスを維持する方針です。また自社株買い枠(約808万ドル)や従業員向けのインセンティブ制度(取締役会が採択した2025年インセンティブプランで最大75万株)も資本政策の一環として活用しています。

同社は業務効率化とリスク管理のためITとサイバーセキュリティへの投資も進めています。賃料請求や債権回収、経理・報告は第三者のプロパティ管理ソフトウェア(Yardi等)を中核に運用しており、ファイアウォールや侵入検知、アンチマルウェア、アクセス制御といった防御策を導入しているほか、管理責任者による監督を行っています。同社は2024年12月31日時点で開示統制・内部統制の有効性を評価し有効と結論付けており、システム依存によるベンダーリスクを認識しつつも、IT基盤とガバナンスによって安定した賃貸収入の回収と財務報告の信頼性を確保することを目指しています。