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- OIL STATES INTERNATIONAL, INC
OIL STATES INTERNATIONAL, INCOIS
事業内容
OIL STATES INTERNATIONAL, INCは、主にエネルギー分野向けに洋上用の製造品や現場サービス、井下用ツールを設計・製造・販売しています。同社はコネクタや弁などの主要製品ラインで特許を保有し、研究開発や洋上風力・深海資源など代替エネルギー分野の技術開発にも投資しています。
同社の顧客は大手や独立系の石油・ガス会社、設計・エンジニアリング会社、元請け業者、場合によっては競合先へのアウトソーシング先まで含む幅広い基盤です。収益は長期のプロジェクト受注に基づく納入や、現場での機器貸出・日額サービス、消耗品の販売などで構成され、油価や探査・生産投資の景気循環に左右されやすい特徴があります。
事業は大きく三つのセグメントに分かれており、洋上製品部門はプラットフォーム向け部品や組立品を製造しています。完井・生産サービス部門は現場での圧力管理や完井機器の運用・サービスを提供し、井下技術部門は貫通(パーフォレーション)や井内作業用のツールや消耗品を設計・供給しています。
経営方針
同社は成長を有機的投資と戦略的買収の両輪で実現してきており、投資は「市場シェア拡大が見込め、投資収益率が高い分野」に集中しています。2024年は米国の陸上サービスの景気変動に対応するため構造改革を実施し、拠点統合や事業撤退、人員削減などでコスト削減と将来の営業利益率改善を図りました。2024年通期の売上高は6億9,258万ドルで、前年の7億8,228万ドルから減少しましたが、特殊項目を除くと営業利益は約2,130万ドル、純利益は約1,120万ドル相当と示されており、同社は収益性回復と株主還元(2024年は1,420万ドルの自社株買い実績、10月に上限5,000万ドルの新買戻し枠承認)を重視しています。
重点投資分野は主に洋上向け製造製品と下流の完成・生産サービスで、特に長期プロジェクトや国際市場での受注拡大を狙っています。具体的には洋上製品の受注残高(バックログ)が2024年末で3億1,100万ドルあり、その約70%を2025年に収益化すると見込んでいるため、納期管理と生産能力への戦略的投資を進めています。差別化の源泉としては独自の技術と特許ポートフォリオ(コネクタやバルブ、穿孔技術など)を保有しており、これを守るための特許防衛に費用を投じる一方で、短周期製品の組織再編による運用効率化も進めています。
新市場開拓と事業再編では、洋上・国際市場への注力と米国陸上事業の最適化を並行して進めています。2024年には米国の陸上掘削リグを売却し、フローバックや井戸試験など採算の薄いサービスから撤退してセグメントを再編したほか、製造・サービス施設の売却で3,510万ドルの純収入を確保しました。資金面では資産担保型のリボルビング借入枠125百万ドルの満期を2028年2月まで延長するなど流動性確保に努めており、これにより国際プロジェクトや洋上風力・深海鉱物といった代替エネルギー関連案件への入札・受注を積極的に検討しています。
技術革新については研究開発と製品改良を継続投資の中核に据えており、穿孔技術や延長リーチ技術などで製品の性能最適化を進めています。2024年の特記事項としては、特許防衛費用やのれん・無形資産の評価見直しに伴う一時的な減損処理(のれんの一部で1,000万ドルの減損等)を計上しましたが、これはバランスシートの健全化と将来収益性の改善を目的とした措置です。総じて同社は、独自技術の保護と商用化、洋上・国際プロジェクトの取り込み、そして資本効率の向上を通じて中長期的な価値創造を目指しています。