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- OCEANEERING INTERNATIONAL INC
OCEANEERING INTERNATIONAL INCOII
事業内容
OCEANEERING INTERNATIONAL INCは海洋向けのエンジニアリングサービスと水中ロボットを中心に事業を展開しています。遠隔操作の水中ロボットや海底で使う特殊機器の設計・製造・運用に加え、海底調査や建設支援などの現場サービスを提供しています。
主要顧客は海底油田を開発する石油・ガス企業と米国政府などで、上位5社で2024年の売上の約31%を占めています。2024年は個別顧客が総売上の10%を超えないなど顧客分散は進んでいる一方、重要顧客の喪失は短期的に業績に影響を与える可能性があります。製品販売の契約は一般に固定価格で締結することが多いです。
事業は大きくエネルギー向けと非エネルギー(航空宇宙・防衛技術)の二つに分かれ、エネルギー側は水中ロボット、製造製品、沖合プロジェクト、資産管理とデジタルソリューションの四セグメントで運営しています。例えば水中ロボット部門は同社が保有する大型ロボット(作業用ロボット)を多数展開して検査・保守・敷設作業を行い、製造部門は制御ケーブルなどの海底向け製品を供給しています。
経営方針
同社は中期的に収益と営業利益の改善を目指しています。2025年は2024年に比べ全セグメントで増収・増益を見込んでおり、とくにSubsea Robotics、Manufactured Products、ADTechが牽引すると予想しています。具体的にはManufactured Productsの受注残高が2024年12月31日時点で約6.04億ドルあり、需給改善や高マージン案件の消化で収益に寄与する計画です。また、株主還元については上限1,000万株の自社株買いプログラムがあり、2024年は約80万株を約2,000万ドルで買い戻し、プログラム開始以来の累計買戻しは約280万株・約1.2億ドルで、2024年末時点で約720万株の余力が残っています。
同社は設備・サービスの核となる分野に重点投資し、そこを差別化の軸にしています。具体的には世界最大級の作業用無人潜水機(ROV)フリートを保有しており、2024年12月31日時点で作業用ROVを250台所有しています。ROVの設計・改修・製造を自社施設(例:ルイジアナ州モーガンシティ)で行うことで供給力と稼働率を高め、製品(制御アセンブリやアンビリカルなど)と現場サービスを一体化して提供することで競合と差別化しています。加えて、2024年10月に英国のデジタル企業を約3,300万ドルで買収し、資産管理や解析ソフトの能力を内製化している点も特徴です。
新市場開拓ではエネルギー転換分野と防衛・航空宇宙分野への展開を明確にしています。同社は洋上風力(固定・浮体)、水素、二酸化炭素回収・貯留、原子力、潮流発電などに技術・人員を適用する計画で、エネルギー以外ではモビリティソリューションやデジタル資産管理、政府向けのADTech事業を成長させる方針です。市場の指標としては、2025年のサブシー・ツリー受注・設置見通しが増加しており(2025年は受注285件・設置349件、2024年は受注216件・設置330件との外部予測)、これを取り込むことで製品・サービスの拡大を図る計画です。なお2025年は新しい基幹業務システム導入に伴い、四半期平均で未配分費用を約4,500万ドル見込んでいます。
技術革新では遠隔運用やデジタル化、省エネ技術に積極投資しています。2015年に初の陸上遠隔運用センターをノルウェーで開設し、その後米国にも展開しており、現場要員の陸上化による安全性向上と炭素排出削減を実現しています。気候関連では2022年を基準とするScope 1/Scope 2の2030年削減目標を公表しており、排出量の把握と低減を経営戦略に組み込んでいます。製品面ではROVの改良や自動化、データ解析ソフトの統合などで顧客の運用効率を高める取り組みを進めており、買収したデジタル企業のソフト資産(無形資産約1,700万ドルを5年償却)もR&Dと実装を加速するために活用しています。