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Organon & Co.OGN
事業内容
Organon & Co.は女性のライフサイクルを通じた健康改善に注力するグローバルな医薬品企業です。処方薬と医療機器を開発・販売し、特に女性のヘルスケア、バイオシミラー、既存ブランドの3領域を中心に約70品目を有しています。
同社は薬品卸、薬局チェーン、病院、政府機関や各種医療保険組織を通じて製品を販売しており、処方薬と医療機器の販売が主な収益源です。小規模市場向けには外部の流通業者や代理店も活用し、一部製品では他社向けの受託製造やライセンス収入も得ています。
同社の事業は大きく女性の健康、バイオシミラー、既存ブランドに分かれており、避妊や不妊治療といった女性向け処方薬、がんや免疫疾患向けのバイオシミラー、心血管・呼吸器・皮膚科・非オピオイド系鎮痛薬などの既存ブランドを揃えています。さらに世界6か所の製造拠点と集中管理された供給網で品質管理と安定供給を維持し、各国の医療機関や市場に製品を届けています。
経営方針
同社は安定した成長と株主還元の両立を目指しています。直近の年間売上高は6,403百万ドル、2024年の売上総利益は3,715百万ドルで、営業キャッシュフローを重視して四半期配当を継続する方針を示しています。実際に2024年第4四半期に1株当たり0.28ドルの現金配当を支払い、2025年2月にも同額の四半期配当を宣言しましたが、配当は取締役会の裁量に基づくため将来の金額や継続は確約されていません。手元資金は2024年末時点で現金同等物675百万ドルを保有しており、事業キャッシュフローとリボルビング・クレジットの組合せで資金需要を賄う計画です。
同社は重点分野として女性のヘルスケア、バイオシミラー、既存ブランドの強化に投資しています。2024年には皮膚科領域を拡充するためDermavantを取得し、合計見込み対価は約581百万ドル(当初支払175百万ドル、承認関連75百万ドル、商業マイルストーン最大950百万ドルの一部を含む)として計上しました。Dermavantの製品Vtamaは2024年の売上に12百万ドルを寄与しており、同社はこうした買収で既存の販売力と組み合わせて領域別の差別化を図っています。また世界6拠点の自社製造施設を持ち、保守的な在庫姿勢と集中管理された供給網で品質と供給安定性を差別化要因にしています。
同社は新市場開拓と事業拡大にも積極的です。バイオシミラーでは腫瘍領域の製品を20か国以上で投入し、免疫領域品は5か国で発売済みといった段階的な国際展開を進めています。地域別の売上構成を見ると欧州・カナダで1,763百万ドル、米国で1,572百万ドル、中国で847百万ドルと地域分散が進んでおり、新規取得品や流通契約(例:Lillyからの一部権利取得で2024年にEmgality/Rayvowが107百万ドルを計上)を通じて市場ポートフォリオを拡大しています。一方で組織効率化のため2024年に31百万ドルの人員関連再構築費を計上し、2025年には約5%の人員削減を実施予定で、固定費削減を図りながら成長投資を続けます。
技術革新への取り組みは研究開発投資と外部技術の獲得を組み合わせたものです。研究開発費は2024年に469百万ドルで、外部開発権やマイルストーンの支払いとして年度で81百万ドルの取得型R&D費用も計上しています。品質管理ではグローバルに統一した品質管理システムを運用し、製造プロセス改善や包装・充填の内製化により供給の信頼性を高めています。さらに特許や技術ライセンス(例:避妊インプラントの技術ライセンス)で知財を保護しつつ、承認取得後の商業化やバイオシミラーの導入で技術面の競争優位を確保する戦略を取っています。