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Nextpower Inc.NXT
事業内容
Nextracker Inc.は、太陽光発電所向けに太陽の動きに合わせてパネルを追従させる「トラッカー」機器と、それを制御・監視するソフトウェアを主力とする企業です。同社は追尾による発電量の向上を狙ったハードウェアに加え、遠隔監視や異常時の自動制御を行うNX Navigatorやエネルギー管理機能のTrueCaptureなどのデジタル製品を提供しているため、発電所の性能と運用性を高めることに注力しています。
同社の顧客は、発電所を設計・建設するEPC企業、プロジェクト開発者、発電所オーナーや運営事業者などで、案件ごとの販売と複数案件をまとめる長期の供給契約(Volume Commitment Agreement)を組み合わせて収益を得ています。同社は世界40カ国超で240社以上の顧客と取引し、2025年度は米国が収益の大半を占めるなど地域的に偏りはあるものの、大型案件のバックログを抱えて安定した受注基盤を築いています。
事業は主に物理的なトラッカーハードウェア、運用を支えるソフトウェア・制御系、そして据付や保守を含むライフサイクルサービスに分かれます。近年は基礎工事や電気インフラ関連の事業を買収して製品ラインを拡充し、設計段階から施工・据付・稼働後の監視・部品供給・研修まで一貫して支援することで、顧客との長期的な関係と市場での競争力を高めています。
経営方針
同社は引き続き既存市場と新興市場の両方で大幅な事業拡大を目指しています。直近の財務状況では、2025会計年度の売上高が約29.6億ドルで前年から約18%増加し、納入実績は約33.6GW(前年から約29%増)に達しました。バックログは45億ドル超と厚みがあり、これを活用して短中期の受注実行と収益拡大を図る方針です。配当は当面行わず、手元資金や将来の利益は事業投資と成長のために留保する計画で、IPOや追加の資金調達で得た資金を設備・人材・技術に振り向けています。
重点投資分野として同社は製品開発、販売・プロジェクト支援、そして供給網とITインフラの強化を挙げています。研究開発投資は急速に拡大しており、2025年度のR&D費用は約7,940万ドル(前年比約87%増)に達しました。差別化戦略は「発電量(エネルギー収量)の最大化」と「施工・保守の容易さ」にあります。独立行駆(独立行追従)によるトラッカーやTrueCaptureという収益最適化ソフト、NX Navigatorによる遠隔監視と極端気象時の自動退避機能など、ハードとソフトを組み合わせて長期のトータルコストを下げる価値提案を前面に出しています。また、長期のボリュームコミット契約(VCA)やマスター供給契約を通じて安定収益を確保する取り組みも進めています。
事業拡大と新市場開拓では、トラッカー単体から「統合ソリューション」へと領域を広げるM&Aが重要な施策です。2024〜2025年にかけてOjjoやSPIの基礎事業、Bentekの買収を実行し、基礎工法や電気インフラを含む統合提供を強化しています。基礎関連の買収では合計で約1.647億ドルの買収対価を計上し、2025年5月にも電気インフラ関連の事業を約1.19億ドルで取得しました。地域展開は米国中心(売上の約69%)ながら、欧州、インド、ラテン米国、オーストラリア、中東・アフリカにも営業拠点を置き、ハイデラバード拠点には約400名の人員を配置するなどローカル対応力を高めています。
技術革新への取り組みは同社戦略の核であり、ハードウェア改良だけでなくソフトとデータ解析で差をつける方針です。独自の独立行トラッカーや、現場データを使って発電を最適化するTrueCapture、NX Navigatorによる稼働監視と異常時の自動制御などを通じ、既設設備にもソフト更新で機能追加を行える「将来性」を重視しています。加えて、買収した技術やサービスを取り込むことで、施工工数や基礎費用、電力収集系のコスト削減を狙い、発電所の建設スピードと稼働率を高めることで顧客の総保有コスト低減に貢献する戦略です。