NEXSTAR MEDIA GROUP, INC.NXST

時価総額
$56億
PER
地上波テレビ放送とデジタルメディアの米国最大手。ローカルニュースとThe CWやNewsNationなどの全国ネットを展開。2022年9月にThe CWを取得、2024年の売上高は54億ドル。米国116市場、40州とワシントンD.C.で展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
109文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

NEXSTAR MEDIA GROUP, INC.は、米国内外でローカルおよびナショナル向けのテレビとデジタルメディアを運営する大手企業です。同社は200以上の自社保有または提携テレビ局を通じて地域ニュース、スポーツ、娯楽番組を制作・配信し、The CWやNewsNation、Antenna TVなどの全国ネットやデジタル媒体も展開しています。

同社の主要な顧客は広告主、ケーブルやインターネット配信事業者、地域の視聴者で、収益は広告収入と配信(放送料・配信料)が中心です。2024年の収益構成は配信が約54%、広告が約45%(そのうち地元広告が約36%、政治広告が約9%)、その他が約1%といった比率で、顧客・市場ともに比較的分散しています。

事業は大きくローカル局ビジネスと全国ネット・デジタルビジネスに分かれ、ローカル局では地域ニュース制作と地元広告営業を収益の柱としています。同社は全国ネットやデジタル資産を通じてナショナル広告と配信収入の拡大を図り、広告販売の中央集約やデジタル収益化、コスト管理による効率化にも注力しています。

経営方針

同社は収益、純利益、Adjusted EBITDA、Adjusted Free Cash Flowの継続的な成長を目指しています。直近では2024年に総売上高54億ドル、営業活動によるキャッシュフロー13億ドルを計上し、2023年の49億ドル、10億ドルから着実に拡大しています。同社はこれらのキャッシュを成長投資と株主還元の両立に充てる方針で、2024年は自社株買いと配当で8.2億ドルを還元し、2023年の7.96億ドルから増加させています。格付けはMoody’sでBa3、S&PでBB+とされており、財務の柔軟性を保ちながら有機的成長と買収の両方に投資することを目指しています。

同社は「規模」を最大の差別化要因と位置づけ、地元局ネットワークと全国ブランドの両輪に重点投資を行っています。保有・運営するテレビ局は200局超で116市場に及び、合計到達人口は2億2,000万人超、国内のカバレッジは約70%(FCCのUHF割引を適用しない場合)に達します。これによりローカル広告や地域ニュースでの強みを持ち、全国向けにはThe CW(77.1%保有)、NewsNation、The Hillなどのブランドで広告や配信料を拡大しています。また2023年に全国広告営業を社内集中化し、データ駆動でマルチプラットフォームに横断した収益化を進めるなど、コンテンツ制作(年間約316,000時間)と営業力の両面で差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大は、買収とデジタル投資の組み合わせで進める計画です。The CWを2022年に傘下に収めたのはその一例で、同社は今後も有望な全国ネット資産や地域局の取得で配布網と広告基盤を拡大したい考えです。ただし、FCCの全国保有上限や外国所有制限など規制上の制約、さらには負債残高65億ドル(総資本の約74.3%)や変動金利の借入約38億ドルがある点を踏まえ、買収によるレバレッジ増大や資産売却を含む柔軟な資本配分を行う方針を示しています。加えてデジタル製品ではNewsNationやThe Hillのアプリや地域局向け配信アプリを拡充し、MVPDやインターネット配信サービスへの配信料とデジタル広告収益の成長を狙っています。

技術革新については、配信プラットフォームとセキュリティへの投資を優先しています。2023年の全国広告営業の社内化は新たに導入したデータ解析基盤と連動しており、同社はコムスコアで上位10位のデジタルニュース資産に位置するオンライン視聴者をより効率的に収益化しようとしています。またサイバーリスク対策では米国のNISTフレームワークを基準に、CTO級の責任者や社内サイバー専門家で構成する委員会を設置しており、外部業者のセキュリティ基準も設定して年次教育を実施しています。これらにより放送設備や配信インフラの近代化を進め、同時にデータ保護と運用の安定性を高める取り組みを継続しています。