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NexPoint Residential Trust, Inc.NXRT
事業内容
NexPoint Residential Trust, Inc.は上場の不動産投資信託(REIT)で、主に賃貸用の集合住宅(マルチファミリー)物件の取得・保有・運営を行っています。同社は割安に取得した物件を改修して付加価値を高める「バリューアド」戦略を中心に据え、賃料と資産価値の上昇を目指しています。
主要な顧客は入居者で、家賃収入がほぼ全ての収益源となっています。同社は入居率と賃料の改善で営業収益を増やす一方、物件売却や関連手数料での収益や、株主への四半期配当・自社株買いによる資本還元も重視しています。
事業は単一の営業セグメントで運営し、取得→改修(共用部・居室・管理改善)→賃貸というサイクルで価値を創出しています。同社は物件管理を外部の大手管理会社BHに委託し、規模を生かした改修コストの抑制や入居率向上を図るとともに、借入を活用したレバレッジ運用でポートフォリオ成長と流動性の両立を目指しています。
経営方針
同社は株主に対して安定的な利回りと長期的な資本成長を提供することを成長目標としています。資金面では当面の現金は約5,390万ドルを保有しており、そのうち約320万ドルは改修資金として確保、さらにエスクローや敷金として約2,760万ドルを留保しています。取得時の典型的な借入比率は取得価額に対して50〜60%のローン・トゥ・バリュー(LTV)を想定しますが、同社は物件の価値向上や長期保有物件の借換え、余剰キャッシュや将来の増資を通じてLTVを段階的に40〜45%へ引き下げることを目指しています。また、既存ポートフォリオは35物件・12,984戸、稼働率約94.7%、加重平均月額実効賃料は約1,491ドルといった基盤を持ち、株主還元として最大1億ドルの自己株買い枠を設定しています(2024年には約1,460万ドル相当を買い戻し)。
同社は戦略的に「Class B」相当の中古賃貸住宅を割安で取得し、比較的少額の投資で賃料を引き上げる価値向上(バリューアド)を差別化の核にしています。バリューアドは外観・共用部の改善、室内改修、管理効率化・コスト改善の三本柱で実施しており、これまでに12,984戸中8,348戸の改修を完了、改修1戸当たりの平均投資額は約10,123ドル、賃料上昇の平均は月額約175ドルとなっています。運営面では外部管理会社BHと提携し、BHは24州で約91,000戸の運営実績を有するスケールにより、管理料は総収入の約3%という契約で運営コスト低減や改修コストの競争力確保、物件ソーシングやデューデリジェンス支援といった付加価値をもたらしています。
同社は新規市場の開拓や事業拡大を、主に米国南東部・南西部の大都市圏を優先地域として推進しています。BHが既に幅広い市場で事業基盤を持つため、新規参入や非中核市場での投資時にも大規模な現地管理インフラ投資をせずに拡大できる点を強みとしています。取得後は原則として少なくとも3年間保有して賃料・純営業収益(NOI)を引き上げてから処分を検討し、市場状況や流動性ニーズに応じて想定より早期に売却する柔軟性も確保しています。加えて、金利環境などで資金調達が難しい場合には現金で買収し、後日借入を行うなど機動的に投資機会をとらえる方針です。
技術面では入居者満足と運営効率の両面でテクノロジーを取り入れています。室内改修には高速のファイバー回線、Bluetooth鍵やネットワーク型の空調制御、USBコンセントの導入などを組み込み、付加価値と賃料上昇を狙っています。一方で同社は人工知能(AI)の導入が競争力維持に重要であると認識する一方で、倫理・サイバーセキュリティ・法規制面のリスクも明確に認めており、Adviser(運用助言会社)は米国の標準として知られるNISTフレームワークやマイクロソフトのAzureセキュリティ基準を基にしたサイバー対策を採用し、継続的な検知・予防・対応体制を構築することで技術リスクの管理に取り組んでいます。